働き方ラボ

日本人は「自由な服装」が苦手 あなたならどんな格好で出勤するか

常見陽平
常見陽平

 まるで大学に入った途端、髪を染めたり、パーマをかけたり、ピアスの穴をあけたりするが、似合わない学生と一緒である。そして、リクルートスーツが似合わない件は「着せられる学生が可愛そう」という話になるが、いざ自由な格好をして似合わない件は、問題視はされない。ただ、似合わない服を着ている人は、いつの間にか評判を落としている。

 高校時代に気づいた「自由の罠」

 私がラッキーだったのは、高校が私服だったことである。幼稚園で割烹着を、中学校で制服を強要された瞬間、私は脱ぎたいと思った。札幌の最難関校の一つである、札幌南高等学校は私服で通学できると聞き、私は死にものぐるいで勉強した。人生で最も勉強したのが、中学校時代というのがなかなか残念ではあるが。

 ただ、いざ私服の高校に合格してみると、自由の罠のようなものに気づいてしまった。当時はまだファストファッションなどなかったので、その分、保護者の所得の差が可視化されてしまった。パーマなども自由だったのだが、似合わない人も多数だった。私はライダースジャケット、ロックTシャツ、鋲や輪などがついたロックなベルト、ブーツなどに身を包み、通学していた。卒業アルバムにもそんな格好で写っている。ただ、自由な学校とは言え、そこまでやる人はあまりおらず、浮いた。母校の同窓会などで同期と会うと「当時は、近寄りがたい雰囲気だった」と言われることも多かった。そんな高校生活を送ったので、大学に入ると、やはり無理している感じの私服の人を見かけ、「痛いなあ」と思っていた。

 大手エンタメ企業で採用担当をしていた頃も「自由の罠」を感じた。社長や役員たちも夏はアロハシャツという会社なので、会社説明会や選考には「自由な服装で着てください」と告知していた。しかし、これが学生に波紋を呼んだ。いつもウェブ上の就活掲示板では「スーツか、私服か」という論争が起こっていた。中には「エンタメ企業は私服が有利」と信じ込み、リクルートスーツで他社を受けた後、わざわざ会社の近くのトイレで私服に着替える学生もいた。胸が痛くなった。

 ただ、私服でやってきた学生も、似合わない学生、無理している学生も多々おり、なかなか残念だった。これは入社してからも同じだった。意外に痛かったのは、営業部員が客周りがない日に着てくる私服で、無理して若作りしている様子が、未だに依頼されると高校生役を演じる佐藤健や、神木隆之介みたいで(いや、彼らほど演じきれていなくて)残念だった。

 というわけで、自由な服装も結構なのだが、いざ自由になると、その中で画一化してしまったり、ダサい格好になってしまうのが、日本のビジネスパーソンなのだ。さらには、服装さえ自由にすれば、何かが変わると信じている経営者や人事担当者も痛い。「私服でのびのび働いてイノベーション」などと言うが、私服にしたところで何かが変わると信じていること自体が痛い。

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