サブスク型サービスを申し込む際に気をつけるべきこと
最近はサブスクリプションモデルへのサービス移行が花盛り。それには提供される商品やサービスが「パッケージ」から「オンライン」に移行したこととも大きく関係しているでしょう。売り切り、買い切り型の販売ではなく、継続課金型のサービスへ。
この時代の流れにマッチしているのが、「ローボール」テクニックです(いきなり投げたら捕球できないような「高いボール(high ball)」であっても「低いボール(low ball)」から徐々に高さを上げていけば捕球しやすくなる、ということに由来)。
あなたもおそらくここ最近、こんなプランのオファーを受けたことでしょう。「まず無料プランをお試しください。」「初回、無料!」「初月1カ月、無料!」。あるいはこうしたサービスの販売をされていらっしゃるかもしれません。
動画配信、コスメやサプリ、あるいは使い放題・借り放題サービスなど。「あ、いいな、これ」と思うと、その案内に、上記の「まず無料プラン」「初回無料」「初月無料」の文字が。おお、であれば試してみよう。で、申し込みを始めると、「それには半年のお申し込みが条件です」「クレジットカードを登録ください」。ここで、なんだ、じゃあやめよう、という人もいるとは思いますが、実際はかなりの割合で「え、そうなの?」と思いつつ、そのまま、まあいいか、使ってみて嫌なら解約すればいいし、とそのまま契約登録に向かいます。
相手がYESと飛びつく提案を先に受けさせてしまい、その後条件を釣り上げる「ローボール」テクニック。嫌な言い方をすれば、はじめに相手が承諾しやすい好条件を出しておいて、後から徐々に相手にとって不利な条件を突きつける手法です。
これが“強い”のは、私たちには「一貫性の原理」があるからです。一度自分が選んだ選択は、そのまま変えずに進みたいという心理を私たちは持っています。また、自分の選択は正しいと思いたい「認知的不協和」、一度選択したものを捨てるのは時間のロスになるという「コンコルド効果」「サンクコスト効果」も働きます。
売り手の立場としては、なるべくお客様の意思決定をスムーズに促進したいため、これらの人間心理に乗っ取った営業プロセス、マーケティングプロセスを取ることが大事だと言えますね。
これら3つの心理学理論は、おそらく皆さん、お気付きの通り、背中を押してあげるという意味では非常に良いテクニックですが、やり過ぎは禁物。相手が「騙された」ということにもなりかねないので、くれぐれも悪用厳禁でお願いいたします!
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら