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在留資格「特定技能」は、コロナウイルスを恐れる技能実習生の救いとなるか

吉田克己
吉田克己

 「働いてほしい」と「働きたい」をマッチング

 「契約にない重労働や危険な労働を強いられた」「パスポートを取り上げられた」「差別を受けた」という実習生の声は、よくテレビなどで報道されている。

 一方で、「コミュニケーションが取れない」「突然いなくなった」など、受入れ企業からの不満の声も聞こえてくる。

 しかし、受入れ企業との関係が良好な技能実習生だってたくさんいるはず。

 「実習が終盤に差しかかるタイミングで、受入れ企業から『仕事も真面目にやってくれるし、うちでずっと働いてほしいんだよね、何とかならない?』と直接相談されることがあります。そういったところでは、実習生側も『もっと日本で働きたい』と思っていることがほとんどです。ただ、今までは、もう一度実習するにも一度は帰国しなければなりませんでした」(工藤さん)

 実際に工藤さんの会社がサポートしているフィリピン人実習生もそうだった。当時、期限は2019年6月に切れてしまう予定だった。

 まだ誰も運用していない在留資格だった

 そこで工藤さんは、2019年4月にできた「特定技能」に目をつけた。とは言え、制度ができたからといって、実際に運用している会社や団体はどこにもない。何人もの行政書士に相談してみたが、詳しく知っている書士は一人もいなかった。

 「この状況に負けたくない!」、工藤さんはフィリピン大使館内にある海外労働事務所の情報を精査し、さらに、その労働事務所に直接電話を掛けて手順などを尋ねるのだが、けんもほろろ、門前払いだったという。

 日本で制度ができても、フィリピンではガイドラインが確立されていなかったため、フィリピンサイドの誰にもわからなかったのだ。

 それでも工藤さんは諦め切れず、何度も何度もフィリピンの出先機関に連絡をとり、やっとのことで「特定技能」在留資格取得に成功した。

 技能実習生から特定技能に在留資格を変更する場合、在留期限が切れても4カ月間は日本在留を認められる。工藤さんが資格取得に成功したのは、期限が切れた2019年6月からギリギリ4カ月後の10月だった。

 その後、フィリピンが特定技能に関するガイドラインを発表したのが2019年12月のことである。もし、当時の工藤さんが諦めていたら、フィリピンの特定技能制度はまだ確立されていなかったかもしれない。

 「実習生の暗いニュースもたくさんありますが、受入れ側の『もっと長くうちで働いてほしい』、実習生側の『もっと日本で働きたい』に真っ直ぐに向き合いたかったんです」(工藤さん)

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