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「メイド・イン・イタリー」にみる手仕事の意味 標準化でなく多様化戦略

安西洋之
安西洋之

 イタリアのファッションは、特に今世紀に入ってからメンズが強い。ジャケットも英国ではなくイタリアだ。全体がカジュアル化に向かうなかで、ちょっと「ドレスダウン」するにイタリアのファッションが相応しい。

 そのジャケットも手仕事のプロセスを強調する。肩のあたりのシルエットがとても自然だ。「それはアイロンで生地を伸ばしながら裁縫するからですよ。そんなの機械じゃできない」と職人は教えてくれる。

 手仕事というと、「工芸品?懐古調に走っているのか?」と思われがちだ。あるいは「前近代的生産システム?」と批判される。殊に、日本の読者はそう思っていたようだ。

 ヴェネツィア大学で経営学を教えるステファノ・ミチェッリはこう語る。

 「イタリアの企業経営者の特徴は標準化を嫌うことだ。必然的に、米国や中国のようにビジネスをスケールで測ることにあまり興味をもたない。きらりと光ることに関心が高く、自分たちの強みは多様化への対応だと自認している。したがって手を使うプロセスを重視するのは、ノスタルジーではなく、将来への戦略的な思考の1つ」

 消費者の方も大量生産品に心惹かれることは少なくなり、しかも、その製品ができるに至る長い不透明なサプライチェーンがサステナビリティとの観点で疑問視される今、他方でパーソナライズされたモノのあり方やつくり方に目が注がれる。

 このあたりの説明を読んで、読者は「そうなのか!」と思ってくれるようだ。

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