統計上トリプルチェック以降は不良品の発見率が極端に落ちると言われているので、不良品を出荷してしまったときのアフターサービスを充実させるという「次善策」を考えるほうが顧客の満足度は高まるのです。これは「ゼロリスク」の考え方に囚われていると、及ばない考えです。
コントロールできるものとできないものを分けて取り扱うことができないと、コントロールできないものまでコントロールできるかのように錯覚してしまうことにつながることもあり、さらに危険です。「これだけ対策したのだから大丈夫なはずだ」という考えは、リスクに対する慢心です。大きな事故につながったり、組織として「そんな不具合など発生するわけがない」という隠蔽や対応行動の遅れにもつながります。
コントロールできないものの存在を認める
コントロールできるものとできないものを分けるということは、必然的にコントロールできないものが存在することを認めることです。つまり想定外のことが起きることを想定するということです。日本人はある決断を修正したり、撤回することを非常に嫌がり、評価しません。しかし、対応した経験のないような問題に取り組む時には、つぎつぎと想定外の状況が発生します。朝令暮改を悪いことと考えずに、素早く実行・修正を繰り返すことのほうが大事です。
揚げ足を取るわけではありませんが、政府の布マスク配布という決断は遅すぎました。「決定的に効果的な政策があるはずだ」を考えすぎて、行動が遅れてしまうわかりやすい例です。政府から配布されるより先に、市場で手に入るようになってしまいました。
「新型コロナに完全勝利」はありえない
私たちは「リスクを忘れる」という得意技で、通常の生活に戻るのかもしれません。しかし、「できること」と「できないこと」をしっかりと分けて把握して、「できること」を地道に実行することで大事故を防ぐことができるのです。
「欲しがりません勝つまでは」という極端な自粛も、「新型コロナに完全勝利」という楽観もありえません。得体の知れない問題という相手であっても思考停止せずに、コントロールできない部分を正確に見極めて「優良な次善策」を考えられるようにしていきたいものです。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら