前述のディレクターは次のようにも語る。
「ミレニアル世代やZ世代への対応はどうすべきか? との質問も受けます。私どもはパーソナライゼーションのサービスを基本としているので、世代という属性にあえて配慮する必要がありません」
今さらながらにして、パーソナライゼーションとはマスを相手にした時にこそ対比的に出てくるアプローチなのだ、と思い知らされるコメントである。1人1人を相手にすることが当たり前であるなら、年代や社会層から人を判断する必要はない。そして、その基本は相手の名前をベストのタイミングで適切に呼ぶことなのだ。
どれも言われてみればまったく当然のロジックだ。何も珍しいことはない。しかし、こうした当然のロジックをどこか忘れさせるマスの世界の思考に浸りきっていると、突如として「当然」に目が開かれる思いがする。
日々の日常生活のロジックと仕事の世界とのロジックに乖離が生じている証拠だ。2つのバランスをたまに検証してみたい。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。