ソニーの事業ポートフォリオは、「安定した事業収入となる金融サービス」と「継続した新商品を出すのが大変な高付加価値なゲームやエレクトロニクス部門」というのがいまのところ理想的な状況を生み出しています。ゲームでも、スマートフォンのカメラなどに使う半導体「イメージセンサー」でも、「面白さ」「新しさ」を維持し続けるのは大変です。しかし、そこに踏み込んだからこそ、「安い人件費」「高度な量産体制」に押されることのない地位を保てているのです。
これは、企業戦略としてだけでなく、個人のスキルとしてもぜひ参考にしたい事例です。「給料の割に多く働きます」「言われたことは正確にやります」という人材から、「高付加価値」を提供できる人財へと変化していくことの重要性を感じることができるのではないでしょうか。
切り離さなかったテレビ事業の行方
さて、ソニーのV字回復の要因として、「高価格の4Kテレビが好調だ」という論調が2017年ごろから多くみられるようになりました。ソニーは、日用品として薄利の典型的な商材であり日本メーカーを苦境に落とし入れていたテレビ事業を切り離さず、4Kという「高価格・高付加価値」商品で大きな利益を得ることに成功したのです。
しかし、2020年の現在はどうでしょうか? 40インチで10万円を切るようになり、デバイスの多様化によりテレビでの画像視聴は減少傾向となっていますね。「高性能・高価格」として生き残ったソニーのテレビ事業は再び「日用品化」に直面する時期に来ていると思います。
パソコンのように切り離さなかったことでV字回復に寄与したテレビ事業をソニーが今後どのように扱っていくのかは注目に値すると思います。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら