社長を目指す方程式

ウィズコロナ、オンラインでも部下の当事者意識を起動する方法

井上和幸
井上和幸

 当事者責任(主体性)発生の方程式

 実はここに、救世主のような理論が存在しているのです。

 ネブラスカ大学・組織社会学博士のスティーブ・バッコルツ氏と、ウイルソン・ラーニングワールドワイド社・代表取締役社長COOのトム・ロス氏が、長年に渡り、エンゲージメントの高い組織カルチャーについて研究してきた結果によれば、部下の主体的関与、エンゲージメントの高い状態での当事者意識を醸成するには、「業績目標」と「期待される行動」の2つを明確にすることが必要だといいます。

 

当事者責任=業績目標+期待される行動

 彼らが行った大規模調査によれば、従業員に「あなたたちのエンゲージメントが高まるためには、経営層に何をしてもらう必要がありますか」という質問に対して、最も多かった回答は「私に求めていることを明確にして欲しい」でした。「自分は何に注力すべきなのか」「経営層や上司は自分たちに何を求めているのか」など、今後についての答えを求めているのです。

 自分は何に対して責任を負っているのか。それはいかなる背景や意味合いにおいてか。これをすっきりと理解できている従業員は、自然とエンゲージメントは高く、当事者責任をしっかりと持ってくれるのです。

 確かに、読者上司の皆さんも、自分ごととして思い返してみれば、自分のやる気が削がれていたときというのは、何をすれば良いのか分からない、どう評価されるのが分からない、この数字を達成したらどういう意味があるか分からない、といった、自分の役割の不明瞭さ、あるいはその納得性が得られないときだったと思います。ここをはっきりさせてあげれば良いのです。

 バッコルツ氏とロス氏は、このことから次のように述べています。

「従業員のエンゲージメントを取り戻すうえで、より強力な要因は、責任とパフォーマンスに対するフィードバックが上司のような外因からくるのではなく、本人が、自分に責任を課し、自分自身のパフォーマンスをモニタリングする能力をもつことである」(『成長企業が失速するとき、社員に”何”が起きているのか?』日経BP・刊)

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