社長を目指す方程式

ウィズコロナ、オンラインでも部下の当事者意識を起動する方法

井上和幸
井上和幸

 遠慮なく「期待+行動+達成」を要望する

 「なんだ、それでいいのか」読者上司の皆さんもひと安心。「でも、ちゃんと目標設定やってるんだけどな。なんでうちは、今ひとつメンバーのエンゲージメントが上がらないんだろう…」。

 そう疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれませんね。最もありがちなケースにひとつ触れておきますと、自分たちが達成を期待されている目標については上司からはっきり聞いている、あるいは目標設定会議があるのだけれども、では、その目標を達成するために<どのような行動を取ること>が期待されているのか。また、<なぜ、その行動を取ることが重要なのか>については、なんら聞いていないという場合が、色々と伺っていますと結構多くあるように思います。

 バッコルツ氏とロス氏は、この<行動の明確化>について、業務パフォーマンスに直結する行動=戦略戦術価値観に繋がる行動=企業のバリューとの2つがあり、それぞれ共に重要であると述べています。

「上司である私たちは、部下に対する期待を公然と明言し、その期待を達成する責任を部下に課さなければいけないのだ。明文化された『業績目標』と、明言された『期待される行動』のつながりを部下全員に理解させなければならない」。バッコルツ氏とロス氏は、こう強調します。

 「業績目標」と「期待される行動」について、部下たちがどのような責任を課されるかを上司が明確にすれば、部下は自分事として責任を担えます。部下が責任を果たしたら、それを充分に報いることで、当事者意識の強い、エンゲージメント高いチームが完成されるのです。

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「リーダーの責任は、メンバー一人ひとりの当事者責任がたいへんに重要な要素であるというカルチャーを築くことである。混乱をきたすような変化の結果、メンバーが方向性を喪失してしまったら、<業績目標>と<期待される行動>という形で『メンバーが何に責任を負うのか』を明確にすることが、メンバーのエンゲージメントを取り戻す方策である」(同上書)

 ピグマリオン効果を研究したハーバード・ビジネススクール教授のJ.スターリング・リビングストンによれば、「リーダーが部下に求めること」と「部下がどう扱われるか」が、部下のエンゲージメントとパフォーマンスの大半を決めると言います。

 リビングストンによると、優秀な経営者やリーダーが持つ特性は、部下たちに高いパフォーマンスを達成することを求めるカルチャーを創り出す力だそうです。

 人は誰でも、期待される、扱われるように振る舞う、と。

 つまり、ベストを望む上司だけが、ベストなチームを実現できるのです。ウィズコロナに縮こまらずに、ぜひ、部下への期待値・要望の高い上司で行きましょう!

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井上和幸(いのうえ・かずゆき)
井上和幸(いのうえ・かずゆき) 株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
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【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら

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