社長を目指す方程式

非常事態下だからこそ…“戦略的”気抜き・いい加減のススメ

井上和幸
井上和幸

《今回の社長を目指す法則・方程式:マーカス・レイクル教授「デフォルト・モード・ネットワーク」》

 新型コロナウイルス第3波の感染拡大が気にかかる日々ですが、長引くコロナ禍でお疲れモードの上司の皆さんが増えていることでしょう。危機対応で四六時中、気持ちが休まらない方も少なくないのではないかと思います。今回はそんな読者上司の皆さんに、「気を抜いても大丈夫」「ラフにやっても心配ない!」という心理学をご紹介します。

 創造性を発揮するには“戦略的に”ぼーっとせよ?

「とにかくこのコロナ禍は非常事態ですからね、<常在戦場>(常に戦場にいるようにことに当たれ)ですよ」

 責任感の強い上司の皆さんは、ウィズコロナ下、いっときたりとも気を緩めてはいけないと思われていることでしょう。ところが、あなたのそのような姿勢は百害あって一利なしかもしれません。

 特に、何かをしっかり考えたい、あるいは思考を巡らせてアイデアを出したい。そのようなときには、根を詰めて考えるよりも、ぼーっとしていた方が良いようなのです。

 実はなんと、脳は忙しくしているときよりも、何もせずぼーっとしているときのほうが2倍のエネルギーを使っているそうです。これはワシントン大学の神経学者、マーカス・レイクル教授らが提唱した「デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network)」によって明らかになったことで、研究の結果、脳が使うエネルギーの70%以上がこの回路で使われているとも言われているのです。

 そもそも私たちが意識的に考え事をしているときは、そのことに関連する脳の特定の部位の動きが活発になり、脳のエネルギーがそこに集中します。この状態は、脳の使い方としてはあまり効率が良くないのです。

 それよりもぼーっとしている状態のほうが、エネルギーが脳全体に分散され、多くの部位に届くことで有機的なつながりが生まれてくる。これによってそれまで結びつかなかったようなもの同士が結びつき、新しい発想や、いいアイデアが瞬間瞬間に出てくる。これがひらめきの構造なのです。

 頭を使った後でボーッとすると、脳の中でつながりが作られる。

 私たちが、ぼーっとしている時間帯に脳は活発に動き、それまでにインプットした情報を整理しているそうです。ですから、この「脳が情報を整理する時間」「脳内のあちらこちらの情報を繋げる時間」を作らない=常に一生懸命、何かに向き合っていたり、意識的に考えていたりしているということは、ひらめきや着想を得る機会を逸してしまっている訳です。ちょっと恐くないですか。

 アイデアを詰めたい、それまで作業したことを集約し自分の考えをまとめたい、何かひらめきを得たいというようなときは、積極的に、戦略的に、堂々とぼーっとしましょう!

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