社長を目指す方程式

「やられたらやり返す」はやはり正しかった? 上司の人間関係学

井上和幸
井上和幸

 「最もシンプルなしっぺ返し戦略」とは、まず最初は相手に協調し、その後は必ず、相手の行為と同じ行為を返す、というものです。つまり、相手が協調してきたらこちらも協調で返す。相手が裏切ってきたら、こちらも裏切りで返すのです。このしごく単純な戦略プログラムが、一定回数以上の中期戦では必ず勝利を収めたとのこと。

 ここから人間関係での戦略としては「基本的に協調・同調するが、相手が裏切ってきた時はやり返す」しっぺ返し戦略が最強の戦略であるという「しっぺ返しの法則」が提唱されました。

 アクセルロッド教授はこのことをして、「高得点をあげた参加者と低い得点の参加者とを比べると、たった一つの性質が運命の分かれ道となっていた。それは<上品さ(nice)>、すなわち自分からは決して裏切らないという性質である」と言っています。

 なかなか示唆深い話ではないでしょうか。ビジネスライクに見ても、「上品な人」「いい人」であることが得をするのです。

 羨まない、裏切らない、策に溺れない人が勝つ

 アクセルロッド教授は自著『つきあい方の科学』の中で、しっぺ返し戦略の成功から学べる実生活での4つの教訓を挙げています。

1:目先の相手を羨まないこと

2:自分の方から先に裏切らないこと

3:相手の出方が協調であれ裏切りであれ、その通り相手にお返しをすること

4:策に溺れないこと

 考えてみれば、実生活での関係のほとんどはゼロサムゲームではありませんよね。相手の駒を奪い取ってこちらの駒にするというよりも、共に成功する、あるいは相手が失敗することでこちらも上手く行かなくなる。お互いが協調、協同することで新たな付加価値を生み出していく行為が、どの仕事でも、あるいはプライベートでの活動や関係性においても大半を占めるのが、いまに生きる私たちの世界です。

 しっぺ返し戦略が選手権で優勝したのは、他のプレーヤーを打ち負かすことではなく、お互いの利益を最大化するための行動を相手から引き出すことによってでした。相手があげている利益を羨んだり妬んだりして奪い取ろうとするよりも、ただただ自分がよい行いをしているかどうか、それだけを気にかけることが必要なのです。

 仕事でもプライベートでも「常にWIN-WINの関係を築くことが重要だ」と言われますが、その際、まず自分から先に行動することが大切です。

 自分の意思はあいまいにしておいて、相手が協力的かどうかを判断できるまで待っているとチャンスを逃してしまうでしょう。相手が信頼できるかどうかを分析して評価するのではなく、こちらがまず先に信頼するという意思が大事です。

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