ときに「許す」ことも大切、いい人戦略の強さ
最もシンプルなしっぺ返し戦略が教えてくれることは、協調であれ裏切りであれ、そっくり相手に返さなければダメだということ。もし相手に裏切られたら、黙ったままにしないことも必要なのです。
先の<繰り返し型の囚人のジレンマ>でのシミュレーションでは、自分から先に裏切ると自分のポイントを減らすことになりましたが、仕返しは得点を上げる結果につながりました。
細かい戦略の結果などにご興味がある方は、ぜひアクセルロッド教授の『つきあい方の科学』(ミネルバ書房)をお読み頂ければと思いますが(ちょっと学術的な本で読みにくいかもしれません)、興味深いのは、様々にロジックを組み洗練させた技を繰り出してみたプレイヤーたちが、ことごとくもっともシンプルなしっぺ返し戦略に敗れ去っているということ。策を弄するよりも、シンプルが勝つのです。
私たちは、常にいい人であることが必要ですが、「やられたらやり返す」のです。これをしないと、ただ何も考えずにいい人を演じ続けているだけになり、結果として長期的な利益を損なうことになってしまいます。
追加でひとつだけ、この最もシンプルなしっぺ返し戦略には落とし穴があります。それは、相手がずっと裏切りを続けてきたとき。
この戦略では相手が裏切っている限り、こちらも裏切り返すことになります。これが永遠に続くと、裏切りの泥沼スパイラルに入ってしまう。これはお互いで撃沈していくパターンとなります。
そのようなときのために、ひとつだけ追加プログラムを加える必要がある。それは、「相手が裏切り続けている間、こちらはときおり協調する」です。アクセルロッド教授は、これを「許す」戦略と読んでいます。言い得て妙ですね。
これを入れると、この泥沼スパイラルから抜け出し、結果としてやはり中長期にて勝利を収めるのはシンプルな「しっぺ返し戦略」となるそうです。
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結論、「半沢直樹2」は非常に正しいことを言っていたのです。「施されたら、施し返す。やられたら、やり返す」。ぜひ、上司の皆さんの社長を目指す方程式としてご記憶・活用ください。
ただし、いずれも同じだけにすること。くれぐれも10倍返し、1000倍返しはしてはいけませんよ!
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら