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徳川ゆかりの地、5路線にアクセス 「東京ドーム」が東京の未来になる日

秋月涼佑
秋月涼佑

 考えてみれば、それもこれも都心の一等立地、しかも「読売巨人軍」という優良コンテンツの本拠、ちなみに福岡ソフトバンクホークスは「西日本最大のコンテンツ」とアピールしていますが、ジャイアンツの場合人気は東日本にとどまりません。その恩恵は大きく一例をあげれば、東京ドームの広告看板は空きが出にくいことで有名で、出れば右から左に売れるほどの人気メディアだったりします。逆に言えば、そんな恵まれ過ぎた環境が、少し緩めの現状を作ってきたと言えるかもしれません。

水戸徳川家上屋敷ゆかりの地位(ちぐらい)

 そんな都心のど真ん中に残された、ちょっと不思議な空間を運営する株式会社東京ドームを、数々の大規模再開発の実績がある三井不動産が買収しようというわけですから、専門家ならずとも都市居住志向の生活者界隈がザワザワすることは当然です。

 さらにもう一点東京ドームシティ立地の特徴は、西に都立公園として開放されている国指定特別史跡・特別名勝「小石川後楽園」と隣接していることです。この一帯はかつての「水戸徳川藩上屋敷」が立地していた由緒ある土地なのです。土地の由来や来歴や、現在の利用状況、評判を勘案した「地位(ちぐらい)」という考え方が、不動産の世界に穏然とありますが、「地位」で言えば江戸以来の大名上屋敷<まして徳川家ゆかりとなればそれはもう誰も文句がないに違いありません。

 本連載では、都市や街のブランディングこそが、生活者に一番身近なブランディングであり、時にプライドとなり、時にアイデンティーとなることからも特に注目してきました。今回、タワーマンションをはじめとする大規模集合住宅供給のレジデンス領域に強い三井不動産の再開発含みです、否が応でも「都市居住」の提案という側面での期待が高まってしまうのです。

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東京の南北問題解決の起爆剤になるか

 都市ブランディングの視点で見ると、興味深いのは東京ドームが「文京区」に所在することです。というのが、まさに東京にあると言われる南北問題、つまり山手線内側JR総武線・中央線の上の南半分と北半分で大規模再開発のしやすさがまったく違うと言われている問題の象徴的なエリアが「文京区」だからです。

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