ローゴンの語源は「みんなで分け合う」という意味らしい。
医者と患者の関係に対してもローゴンを適用できると田北さんは感じた。医者は「私が治療できるのは、ここまでだ」と明言し、患者は「それなら、それを受け入れるしかない」とそのまま受け入れようとする。お互いに無理をするのを避ける。または相手に「そこをなんとか」と無理強いしない。
例えば、患者が自分の口から食事をとれなくなった時、胃から直接栄養を摂取できるようにする「胃ろう」処置をスウェーデンでは一般に行わない。「人生のお終い」の意味合いが生活全体のバランスのなかで判断されている。これも医者と患者の間でのローゴンを勘案した折り合いのつけ方ではないかと田北さんは考える。
昨年、パンデミックにおいてスウェーデン政府がロックダウンを極力避けたのも、田北さんはその背景をローゴンの概念から推測したそうだ。
別の観点からもローゴンをみてみよう。
スウェーデンはご存知のように社会での平等を優先する社会だ。例えば、医者の収入は85%が税金にとられ、大学を出たばかりの新入社員の給料が4-50%の課税となれば、親子で手取り収入にさほど差が出ない。だから、みんなでお金を出してヨットや別荘を買い、それらをシェアする生活スタイルが定着する。
しかし、人には欲がある。ステイタスに無欲ということでもない。ローゴンはどう介入してくるのだろうか。