社長を目指す方程式

誰でも実践できる「職場で好感を持たれる」ワザ 接近戦の重要性

井上和幸
井上和幸

 単純接触効果は遠隔操作も可能

 要するに私たちは、相手のことをより楽に知覚することができるという認知的な処理の心地よさを、その相手に対する好意と勘違いしているのです。これを「誤帰属」と言います。

 この錯覚を使わない手はありません。上司の皆さんは、ご自身に好意を引き寄せる策として、部下たちや社内外の関係者に対して、接触する頻度を増やせばよいのです。朝会、1on1、フロアでの声掛け。使える手段は徹底的に使いましょう。

 実は、心理学の実験により、この単純接触効果は直接対面で触れ合わなくとも発揮されることが実証されています。相手の視界に入る頻度が高まれば、同様の効果が期待できるのです。

 そこで、大手企業の経営陣の皆さんが大勢の社員たちに対して、上司の皆さんが取引先各社の方々などに対して、遠隔操作での単純接触効果を使う手があります。

 頻繁に直接接触することは難しい従業員規模の社長や経営幹部であれば、社内報などを使ってメッセージやコメント、コラムを寄せることも非常に効果的。社外の方々に対しては、取引先や会員の方々にメールマガジンやSNSでの発信を行う。その内容は、自社製品の紹介など形式的なものではなく、あなた自身の等身大の言葉やエピソードであることが鍵です。

 こうした発信を相手に届けていると、直接会っていなくても、相手はあなたのことをあたかも「いつも会っている人」のように感じてくれるのです。

 単純接触効果の落とし穴

 普段からこうした発信をしていると、その上で数年振り、あるいは十数年振りにお会いするという場面でも、相手がこちらに非常に近しく親しい感情を持ってくださっていて、結果として商談やパートナーシップなどがスムーズに進むことは非常に多くあります。(何を隠そう、私自身、当社で継続的に色々なチャネルで発信しているため、このようなご縁の恩恵をいつも受けています)

 そういう意味では、このコロナ禍の中でリモートワークが中心となることは、上司の皆さんの魅力度UPのチャンス、あるいはメンバーの皆さん同士の親しさや好感度合いを増す機会を阻害している部分があるわけです。ビフォーコロナなら、同じフロアにいるということだけで、自然と単純接触効果が働いていたのですが、それがなくなってしまった…。オンラインミーティングでもよいのですが、かなり意識し、意図して接触頻度を高める動きが欠かせませんね。

 さて、このように、使わない手はない単純接触効果ですが、一つだけ落とし穴があります。

 それは、初見でかなりの程度で嫌われている相手に対しては、この繰り返し接触策、接触頻度UP策は逆効果となるということ。相手が明確にあなたのことを嫌っている場合には、その相手に接触頻度を高めることは、火に油を注ぐ結果となります。逆に嫌われる度合いを更に助長しますので、くれぐれもご注意を。

*         *         *

 部下や取引先などと、気まずいな、何か話しにくいなというような時に、そのまま遠ざかることは百害あって一利なし。思い切って直接話しをしてみれば、案外すぐに打ち解けられる可能性も大きいものです。フットワーク良くチームメンバーや取引先の方々にこちらから接近戦を試みましょう。

▼“社長を目指す方程式”さらに詳しい答えはこちらから

井上和幸(いのうえ・かずゆき)
井上和幸(いのうえ・かずゆき) 株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
経営者JPが運営する会員制プラットフォームKEIEISHA TERRACEのサイトはこちら

【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング