社長を目指す方程式

できる上司の「当たり前の基準」を盗め 達成し続ける人の心理学

井上和幸
井上和幸

《今回の社長を目指す法則・方程式:「アンカリング効果、フレーミング効果、固着性ヒューリスティック」》

 上司の皆さんは日々チームの目標を追い、奮闘されていらっしゃることと思います。昨今は大半のマネジャー職が多かれ少なかれプレイングも求められますから、チームのみならず個人としての目標や数字も必死に追いかけていらっしゃるかもしれません。

 目標達成というものはある面、不思議な(興味深い)もので、達成し続ける人は常に達成し続け、未達で終わる人は常にあと一歩に留まる。これは個々人の実力の差なのでしょうか? もちろんそれもありますが、それだけではないメンタリティの側面から「達成の心理学」について紹介したいと思います。

 あなたの「単価」に関する当たり前の基準は?

 あなたがいま、自社で提供している商品やサービスは、おいくらのものでしょうか? これまでに転職経験や事業部門間での異動経験のある方は、以前は単価幾らくらいの商品やサービスを扱っていましたか?

 私たちは、誰もがその人固有の<単価の基準>を持っています。1億円の原料をトレーディングしてきた人と、数千万円のプロジェクトを受注してきた人、数十万円の法人向けサービスを売ってきた人、数百円の商品を取り扱ってきた人で、売るものの相場観は自ずと異なります。

 もちろん額が大きい・小さいに良し悪しがあるわけではありません。いずれであっても、そもそも取り扱うお金のサイズ自体は、その人にいつしか染み付いた相場観となります。

 例えば、10万円の値引きについて考えてみましょう(あなたが値引く側でも、値引かれる側でも、どちらでも良いのでイメージしてみましょう)。

 単価千円の商品を扱っており、販売個数が1000個で100万円の商談において、10万円の値引きは非常に大きなものです。血と汗の結晶である1000個のうちの100個分も無料にしてしまうのですから。

 一方で、1億円の商談で10万円を出精お値引きしますと言われても、ありがたくないとは言いませんが、消費税分にもはるか及ばず、せっかく値引きしたとしても商談に与えるインパクトは微々たるものでしょう。

 この、同じ10万円が、比較対象となるものによって(100万円と1億円)大金に見えたり少額に見えたりすることを、「アンカリング効果」と言います。

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