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ある国の事情を知るには 「この人ならば!」という人に聞く事の難しさ

安西洋之
安西洋之

 一方、ハンガリーのオルバン現政権には反民主主義的な動きがある。言論の自由が失われているとの報道もある。

 同国の議会ではLGBTに規制をかける法律を施行し、国内の一部や欧州委員会から反発を受けている。欧州委員会は人権侵害にあたるとして法的制裁を検討している。

 ぼくはこういう事象についてもファッション企業の人に質問する。ファッション分野はLGBTを推進し、かつ米国でアフリカ系の人権の大切さを訴えたBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動のサポートにみるように、社会問題の先端にたつことが多いからだ。

 言うまでもなく、このような動きに関してファッション企業としての意見を聞こうとしても、そう簡単ではない。オフレコの雑談であればよいだろうが、企業のトップが広報担当と一緒に考えを示すのには躊躇する。ただ、インタビューする側としては、彼ら・彼女たちの口が重くなり、表情が硬くなることを知るだけでも意味がある。

 しかし、ある政治的な立場なりを公に表明するとなれば、どこの国の人であろうと、それなりに慎重な態度をとるのが普通でもある。よって、彼ら・彼女たちの表情の硬化をもってハンガリーの言論統制を裏付けるとは判断しづらい。殊に、Zoomのように身体の動きが見えにくいと難しい。

 足を組み替えるとか、貧乏ゆすりとか、唾をのむとか、人の反応を知るための情報が圧倒的に不足していると、自分がよく知らない文化圏の人を相手にする場合、なかなか自分の判断に確信がもてないものだ。

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