- 大勢の客によって良いネタを低コストで仕入れられるようになり、経験で腕も良くなっていった回転寿司の職人
- 大量のフィードバックにより、いつのまにか非常に顧客サービスが高まって人気になっていったUber運転手
これらは、「既存のプロ」には及ばないと言われながらも、既存業者を破壊していったのです。
ヨドバシカメラが運営するヨドバシ.comは、これに真っ向から対決すべく、自前の配達員を用意して「ヨドバシエクストリーム便」を展開しています。
私は幸運にも対象地域内に住んでいるために利用できますが、たしかに速さも質も数段上です。しかし、日本特有の「高品質・低価格」をキープすることができるのかは疑問が残ります。アマゾンが自前システムを構築し、経験とシステムの好循環で一気に質を高めていくのと競争かもしれません。
「日本の会社には高度なロジスティクス技術がある」の危険性
ローエンド型の破壊的イノベーションが始まると、なかなかその流れは止められないというのが歴史です。アメリカでは、そもそもの荷物配送サービスが貧弱だったこともあり、すでにアマゾンは国を代表する「配送企業」の座を伺っている状況です。日本的な思考ではおそらく「法規制」に訴えるのが最初の防御策かとは思いますが、それでも長くは持たないでしょう。
かつてアマゾンにとって日本の物流が必須だった頃には、「日本の物流会社こそ日本のアマゾンになれたのに」と言われたものでした。今はそれどころか、アマゾンが世界最高レベルである日本の荷物配送業者にもなってしまう可能性が出てきています。
「日本の物流会社は家庭向けの配送以外の高度な分野が存在する」というコメントも多く見られますが、それこそローエンド型の破壊的イノベーションに飲み込まれる企業の典型的な対峙姿勢です。
「自ら構築したシステムが誰かに破壊されるくらいなら、それは自分たちでなければならない」
と考えられなければならないのです。
私は海外で暮らしたり、海外との貨物のやりとりを通して日本の物流の質のとんでもない高さに感動し、その恩恵を受けてきたという実感があります。日本の生活環境の質の高さの屋台骨といっても過言ではありません。ぜひ、しっかりと乗り越えて、さらにシステムが世界へと広がっていくことを願っています。アマゾンは、確実に配送システムの外販を始める企業なので、日本の物流会社には負ないでほしいですね。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら