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不動産テックが台頭 「Withコロナ」の市場にも新風期待 (1/2ページ)

伊藤俊祐
伊藤俊祐

 読者の皆さま、初めまして。デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、それを象徴するイベントが木曜日の朝7時から開催する「Morning Pitch(モーニングピッチ)」です。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家ら百数十人を前にプレゼンテーションを行い、2013年に開始して以来、延べ1500社以上の企業が登壇しています。今年4月からは大手町の「グローバルビジネスハブ東京」に会場を移し、新たなスタートを切りました。

 東京駅周辺の大手町と丸の内、有楽町は「大丸有地区」と呼ばれ、エリア内に本社を置く上場企業の売上高は合計で、日本のGDP(国内総生産)の約4分の1を占める世界有数のオフィス街です。最近は金融とITを組み合わせたサービスを提供する「FinTech(フィンテック)」系をはじめ、スタートアップも続々と集結しています。

 残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場でのライブ開催に戻す予定で、地の利を生かしてベンチャーと大企業の連携による、さまざまな形のイノベーションを誘発したいと思っています。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登壇します。本連載では、モーニングピッチで取り上げたテーマを改めて振り返り、登壇ベンチャーを紹介することで、今後の日本のイノベーションに資する情報を広く発信していきます。

 第1回のテーマは大手町移転後第1弾の不動産。東京都心部では大丸有エリアを中心に大型の再開発が進められており、不動産ビジネスが活発化し、ベンチャーの台頭も著しいため今回のテーマに決定しました。

 テーマ概観を説明するのはイノベーションプロデュース事業部の伊藤俊祐です。昨年4月まで新聞社の記者として働き、丸ビルや六本木ヒルズの開業に立ち会うなど不動産・住宅業界の取材に長く携わってきた関係で、テーマリーダーを務めることになりました。まず不動産の最新動向について解説します。概観要素は地価、首都圏マンション、オフィスビルです。

 28年ぶりに地方圏全用途が上昇、下落懸念も

 国土交通省が3月に発表した今年1月1日時点の公示地価は、商業地や住宅地など全用途の変動率が全国平均で5年連続上昇しました。訪日観光客の増加や中核都市の再開発などがけん引し、バブル崩壊後の1992年以来、28年ぶりに地方圏の全用途が上昇に転じた点が特徴です。しかしCOVID-19の拡大によって観光需要は大打撃を受けており、地価下落につながるとの懸念も高まっています。

 東京都の住宅地は上昇していますが、上げ幅が縮小している地域が増えました。新築マンションの売れ行きが鈍っているためです。不動産経済研究所(東京都新宿区)によると、2019年の首都圏新築マンション発売戸数は、前年比16%減の3万1238戸。過去最大だった2000年の3分の1にも届きませんでした。地価と建築費の高騰によって1戸当たりの平均価格は5980万円とバブル最盛期以来、29年ぶりの高水準になり、普通のサラリーマンが手を出しにくい価格帯になったのが鈍化の理由です。

 その反動で好調なのが中古マンションの売れ行きです。19年の供給戸数に占める中古の割合は55%と過去最大になりました。

 最低水準のオフィスビル空室率に変調リスク

 オフィスビルは好調な企業業績や新卒の雇用対策を背景に都心部の需要は旺盛でした。三鬼商事の調査によると東京ビジネス地区(千代田、中央、港、新宿、渋谷区)4月時点の平均空室率は1.56%と過去最低水準で推移しています。ただ、地価と同様に、COVID-19による景気悪化には、変調リスクとして留意が必要です。

 都心では20年以降も東京駅周辺や虎ノ門、渋谷などで大型ビルが続々と誕生する予定で、オフィス市場の安定化を図るため不動産会社はテナント開拓に力を入れています。ターゲットはスタートアップ。具体的にはシェアオフィスを開設したり、大企業とのオープンイノベーションが加速する施策を導入する動きが活発化しています。

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