Fromモーニングピッチ

医療費の削減に力 デジタルヘルス系ベンチャーが効率的な医療サービスを提供 (2/2ページ)

外山陽介
外山陽介

 ヘルスケアビジネスはそれぞれの領域単体で事業化することが難しく、患者や医師の行動変容を収益ポイントとして事業を設計することが主流です。今回は医療に介護、IoT、AI・ブロックチェーン、新興国、チェックインという5つの領域からベンチャーを紹介します。

AI聴診器で心臓負担をデータ化

 心疾患診断のアシスト機能が付いた遠隔医療対応型の聴診器を開発しているのがAMI(熊本県水俣市)です。心電と心音を同時計測するとともに独自のアルゴリズム、データ処理によって一般的な聴診だけでは分からない心臓負担をデータとして可視化。心臓弁膜症の早期発見を実現します。同社の代表者は循環器内科医として働いており、3Dプリンターで試作を進めています。将来的には肺や腸の音に領域を広げる方針です。

スマホを介した医療相談

 ドクターメイト(東京都港区)は、介護施設向け医療相談サービスを提供しています。写真や動画を活用したスマートフォンによる相談が可能で、皮膚科への通院数は70%減少し、精神科への通院数は半減という効果が表れています。また、夜間相談にも対応できる体制を整えています。今後は訪問看護・介護サービス向けにも展開し、将来的には家族による在宅介護でも利用できるようにする計画です。

病院内をスマート化

 日本の病院は、記帳をすれば誰でも出入りできるなどアナログで運営されています。この部分に注目して院内のスマート化を仕掛けているのが、ホスピタルコンプライアンスマネージメントジャパン(東京都千代田区)です。外部業者の訪問を管理する専用システム「MONITARO」では、院内での動きを一元で管理。COVID-19対策のための接触アプリとしても活用でき、今後は医師の働き方改革を促す使い方を進めます。

多言語電子カルテでDX化

 アジア圏でスマートクリニックチェーンを展開するのがMEDRiNG(東京都文京区)で、まずベトナムで総合内科と小児科を開設します。予約や事前問診から治療、決済に至るまでの全工程を、自社開発の多言語クラウド型電子カルテを核にDX化を進めていきます。登録された問診データに基づき、医師の力量にかかわらず一定水準の診療が可能となるAIも開発中で、日本で製造された医薬品の現地展開も目指しています。

治療アプリのリーダー

 治療アプリはデジタルテクノロジーが治療を支援するため、医療費の抑制につながるだけではなく医薬品の有効性分析など、データビジネスの展開に期待が集まります。日本でのリーディングカンパニーとして期待されているのがサスメド(東京都中央区)です。アプリの開発には医療・薬事の知見、システムの開発体制、データの分析技術などが必要で、これらすべてに1社で対応できる点がサスメドの強みです。

 2022年には団塊の世代が75歳になり始め医療費の急増が見込まれるため、より効率的な医療提供が求められています。デジタルヘルス系ベンチャーのさらなる台頭への期待が高まります。

デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社 six brain unit 事業責任者。公認会計士。スタートアップ企業が大手企業の最適な担当者に最短で巡り会うことができるオープンイノベーションプラットフォーム「six brain」を立ち上げている。著書に「起業家とつくった起業の教科書」(日経BP社)。

【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus