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活躍目立つDX系ベンチャー コロナ禍でデジタル技術による業務改革広がる (3/3ページ)

永石和恵
永石和恵

 本人確認をデジタル上で

 政府はデジタル庁の創設に向けて準備を進めており、「行政サービスがDXを推進するに当たっては、スタートアップの機動性を積極的に活用する必要がある」との政策提言も行っています。それを踏まえ10月に開催したのが行政DX特集です。

 TRUSTDOCK(東京都千代田区)は本人確認をデジタル上によって行う専門機関で、デジタル身分証アプリを提供しています。マイナンバーカードの公的個人認証と、電子的に本人確認手続きを行うeKYCの双方に対応しており、運転免許証やパスポートなど写真付き身分証明書7種類に対応しています。また、身分証以外では携帯電話の契約情報や、銀行口座を介した本人確認が可能です。本人確認書類の提出専用JavaScriptを活用すれば、あらゆる業種のサービスで本人確認が簡単に導入できます。行政側の本人確認手続きに要するコストを削減するため、関係省庁などと連携し、ガイドラインの策定などに携わっています。

 無人決済店舗システム

 JR東日本から生まれた無人決済システムを開発するTOUCH TO GO(東京都港区)は大企業発ベンチャー特集に登壇しました。無人決済システムは朝や移動の合間といった忙しい時間帯でも、短時間で買い物を済ませることができ、省人化によって店舗の運営コストも削減できます。設置カメラなどの情報から、来店者と手に取った商品をリアルタイムに認識し、出口付近の決済エリアに立つとディスプレーに購入商品と金額が提示され、電子マネーなどで買い物が完了する仕組みです。スタッフは直接的に接することがないので、COVID-19によって関心が高まっている非対面型の象徴的な事業モデルといえます。

 培養コストを1万分の1に

 2020年の最終回である「フード特集」から名乗りを上げたのは、培養コストを従来の1万分の1に抑制することで細胞培養肉の実用化を目指しているインテグリカルチャー(東京都新宿区)です。すでにガチョウ、牛、エビなどで細胞培養の実績があります。商業パイロットプラントの開発を進めており、2021年12月には培養フォアグラの提供を目指しています。素材メーカーや製薬メーカーとの連携による培養毛皮や培養臓器の生産などを視野に入れており、石油化学コンビナートの規模に相当する培養設備構想の実現に向け邁進しています。世界の人口は途上国を中心に増加しており、食料需要も増えているだけに、早期の本格的な実用化が望まれます。

 ベンチャー育成で産業の新陳代謝を

 米国ではここ二十数年の間に設立された企業が時価総額の上位10社に名を連ねています。経済の活性化を図るには日本でも米国と同様、産業の新陳代謝を促すことが必要となります。そのためにもベンチャー企業の創出・成長を後押しするのは重要なテーマ。Morning Pitch Special Edition2021を通じ、日本経済の新たな牽引役となるベンチャーの誕生に期待が高まります。

学生時代からITベンチャー企業へ参画、その後大手ネット広告代理店と2社で計10年の人事キャリア。1社目のベンチャーでは、上場前メンバーとして人事採用チームの立ち上げを経験、上場後にHR領域マネジメントと経営企画IR業務を担当。2016年より現職で、スタートアップ個別支援や、イノベーションエコシステム構築に従事。ベンチャーと大企業の協業マッチングプラットフォームMorning Pitchの運営統括。EdTechベンチャー支援や自治体向け教育イノベーション事業アドバイザリーも行う。

【Fromモーニングピッチ】では、ベンチャー企業の支援を中心に事業を展開するデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)が開催するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch(モーニングピッチ)」が取り上げる注目のテーマから、日本のイノベーションに資する情報をお届けします。アーカイブはこちら

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