オープンイノベーションの手引き

ステップ(1)実践にあたっての心構え オープンイノベーションは「手段」だ (2/3ページ)

TOMORUBA
TOMORUBA

 『とにかくオープンイノベーションをやるんです』ではなく、オープンイノベーションという手段を用いる理由が整理できており、その手法の活用が『どのようなステップが一番目的としている価値に繋がりやすいか』『社会実装に最短で繋げるためにどうすべきか』と少しずつ、意味のある論調になってきているのである。

実践のファーストステップ『目的の明確化』

 まず上記図をみてほしい。オープンイノベーションは方法であり、そのやり方には順序がある。この図でポイントとなるステップを可視化した。このステップが整理されていない会社や取り組みはいまだに散見される。

 そもそもオープンイノベーションを実践するにも関わらず実施する背景を整理できていない企業はまだまだ多いのだ。

 先に述べたように整理がつき順序立てて進みだしている企業が見られるのは朗報と言える。一方でこの5年、多くの企業がオープンイノベーション実践に新たに乗り出しており、その実践企業の増加数の割合からすると、本質的な取り組みへ進めている企業は減ってしまっているとも感じている。

 だからこそeiicon companyとして、「オープンイノベーションとはなんたるや」の部分からハンズオンで支援することにあるわけだが、つまりは背景や目的、ステップを整理するかしないかが後々の成否を大きく分けることになるのだ。

  • まず最初に絶対的に必要なのは、「目的を明確化」すること。
  • そして「目的が明確」とは、明文化までを指す。

 これが、今後何度も立ち返るであろう今後の指針となるためである。

明文化していくときのポイント

 とはいえ、「ぼんやりしていてまだ決められない」「どうすれば良いかわからない」といった声をよく聞くのもまた事実。そのような場合でも“新規事業部署”・“経営企画”であれば全くの方向性がないことはないはずだ。

 事業会社として、事業活動を続けていく中で、オープンイノベーションを実践しているからには、方向性がないことは断じて「ない」。

 だからこそあきらめずに、一つひとつ紐解いていくことが非常に大切である。明確化できていないと嘆く企業にも下記のような問いかけをすると、輪郭が見え始め、具体的になっていくことも多い。まったくの暗闇のように感じたとしても、まずは一問一答の質問形式で可視化し、ブラッシュアップしていくのも良いだろう。

  • 「会社としてのビジョン・目指していきたいのはどのような未来ですか?」
  • 「そもそも今自社が目指していることはなんですか?」
  • 「それには何が足りていないと認識していますか?」

 基本的に、オープンイノベーションとはイノベーションを起こすための方法なのだから、目的は新たな価値創出や、自社だけでは実現が難しい『革新』に紐づくわけだが、その内容は企業によって本当に様々であり、その「目的」が自社の言葉で明文化できていることはとても重要である。

 ちなみに、オープンイノベーション実践における目的が明確で明文化できている企業は、実践者、経営陣、実際に携わっていない社員まで同じ「言葉」で語ることができるケースも出始めている。

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