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イノベーションの起爆剤 SDGs系ベンチャーが巨大マーケットを掘り起こす (1/2ページ)

谷本真一
谷本真一

デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「Morning Pitch(モーニングピッチ)」というイベントを開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげるのがねらいです。残念ながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のためオンライン開催となっていますが、いずれ会場(東京・大手町)でのライブ開催に戻す予定です。

 モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回はSDGs(持続可能な開発目標)です。

 ウエディングケーキに似たモデル

 SDGsは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のことを指し、17の目標と169のターゲットによって構成されています。菅義偉首相が昨年の所信表明演説で「2050年までに脱炭素社会を実現する」と宣言するなど、日本でもSDGsを巡る動きが活発化しています。

 17の目標は経済、社会、環境という3つの階層から構成されており、それらが密接に関わっています。SDGsの概念を示すものとして、その形になぞらえた「ウエディングケーキモデル」があります。経済の発展は生活や教育など社会条件によって成り立ち、社会は人々が生活するための自然環境によって支えられていることを表しています。

 日本はジェンダー平等に遅れ

 達成度を調査したレポートによると、世界各国の中で2020年の日本の順位は17位でした。前年よりも2つ順位を下げていますがアジアの中では首位で、人口1億人以上の国でもトップです。取り組みの遅れを指摘されたのは「ジェンダー平等を実現しよう」や「海の豊かさを守ろう」など5つの目標で、後退しているとされたのが「人や国の不平等をなくそう」です。

 ESGは投資分野のメーンに

 次にSDGsのトレンドを見ていきます。1つ目がESG投資の隆盛です。企業の非財務情報である環境と社会、企業統治という3つの要素によって投資先の選定や評価を行うもので、投資分野のメーンストリームとなりつつあります。2018年の世界全体のESG投資残高は約31兆ドルで、2年前から34%増えています。このうち日本は約2.2兆ドルで全体の7%に過ぎませんが、残高は2年間で4.6倍と急増しています。

 2つ目がポストCOVID-19時代における役割についてです。COVID-19はSDGs達成へ向けた道のりにさまざまな影響を及ぼしていますが、環境問題を軸とする課題については改善が進んだものもあります。例えば中国では経済活動の抑制により、大気汚染が少なくなりました。ポストCOVID-19でもこうした改善を継続できるかが問われており、SDGsが重要な役割を担うとされています。

 進む産官学連携

 3つ目はイノベーションの起爆剤になりうるという点で、企業が単独で取り組むだけでなく行政・他業界との連携を通して新しい価値を生み出すことが非常に重要です。 

 実際、産官学をはじめ金融などが協働して連携するプラットフォームが形成され多くのイノベーション事例が生み出されています。

 規格外バナナを使ったウエットティッシュ

 スタートアップと大企業の連携も進んでいます。ファーメンステーションは航空系商社が輸入した規格外バナナとオーガニック米を原料に発酵エタノールを精製し、天然由来成分99%のウエットティッシュを開発しました。海外での動きも活発で、東大発ベンチャーのmiupは医療機器メーカーと組み、バングラデシュでAIを活用した安価な健康診断事業を展開しています。

 フードロス対策自販機

 自治体も企業との取り組みを進めています。富山市は期限が迫った飲料を通常の半額で販売するフードロス対策自動販売機を設置しています。売り上げの一部は富山市に寄付され、SDGs関連予算に充てられます。北九州市は複写機メーカーと連携し、企業や学校から回収した古紙を新たな紙に再生、環境団体に還元配布しています。

 こうしたSDGsを取り巻く環境を踏まえ、今回は5社のSDGs系ベンチャーを紹介します。

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