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ファッション特化AIでアパレル業界の変革に挑む 危機を克服した決断とは (1/2ページ)

 「Founders Night Marunouchi」は、スタートアップの第一線で活躍する経営者から学びを得ることを目的に、三菱地所が運営する起業家支援コミュニティ「東京21cクラブ」と、イベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」との共同開催のイベントシリーズです。2019年10月より月2回、新丸ビル10階にある東京21cクラブにて開催しており、2020年4月からはオンラインにて開催しています。

 2021年4月28日に登壇いただいたのは、株式会社ニューロープ代表取締役の酒井聡さん。同社はファッションに特化したAIを活用し、ファッションスナップを自動解析する「#CBK scnnr(カブキスキャナー)」やコーディネートを自動提案する人工知能ショップ店員「Mika」、ファッションスナップメディア「#CBK」などのサービスを展開しています。

 酒井さんは、新卒で株式会社マイナビに入社し、マーケティングやプロモーションに従事。その後、株式会社ランチェスターにて、Webサイトやスマホアプリケーションの企画・開発に携わり、2014年1月にニューロープを創業しました。

 なぜファッション領域に特化した事業を展開したのか。また、創業時にどのような苦労を経て、今に至るのか。Peatix Japan取締役の藤田祐司さん、東京21cクラブ運営統括の旦部聡志がモデレーターを務め、ニューロープが事業成長に至るまでの過程を伺いました。

 資金ショートを乗り越え、「勝つ覚悟」で事業に挑戦

 2021年4月、ファッション通販サイト「MAGASEEK」と提携し、EC上での「スタイリング提案」導入を発表するなど、アパレル業界向けの事業を展開し、成長するニューロープ。ファッション業界特化のAIを開発し、トレンド予測やデータ分析などのサービスを提供しています。

 もともと酒井さんは読書が好きで、一時期は著名な経営者が書いた本を読むのに夢中になっていたと語ります。それを機に、社会人1年目から「いずれ起業しよう」と考えていたそうです。ランチェスター時代に、サイバーエージェントが主催する「アントレプレナー・イノベーションキャンプ」に参加。そこで優勝し、1000万円の出資を受け、起業しました。

 「当時、事業アイデアを10個考えていました。その中で『これが良いのでは』とメンターにピックアップいただいたのが、ファッション領域でした。もともとファッションへの興味関心も強かったことから、まずファッション特化のメディアコマースを立ち上げました」

 インフルエンサーとの提携などを行いながら、メディア事業のグロースに力を注ぐ一方で、競合に当たるキュレーションメディアの乱立により、マネタイズに苦戦します。さらに、資本政策面の失敗が尾を引き、資金調達にも苦労したといいます。

 「ついにはキャッシュが底を尽き、食い扶持を稼ぐためにも受託開発に踏み切ることを決意しました。1年半はWebアプリやキャンペーンサイトなどの開発に追われましたね。隙間時間に自社サービスの開発を行っていましたが、なかなかリソースを割ききれず、苦しい思いをしました」

 苦しんだ時期もあった中で、再び「自社サービスにフォーカスしよう」と決めた酒井さん。その決断は容易にできるものではありません。当時の思いを次のように振り返りました。

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