CONNECT in 丸の内

おコメをプラスチックに変える技術 ベンチャーの粘り強い挑戦 (2/2ページ)

東京21cクラブ
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 できることとできないことの明文化が重要

 その中で生まれた成功事例の一つが「地産地消モデル」と、神谷さんは語ります。い草や梅干しの種など、その土地で多く生産され、使われずに廃棄されてしまう原料を活用することで、販路を拡大していくもの。国内有数のコメどころである南魚沼市に最初の拠点を構え、同市の指定ゴミ袋にライスレジンが活用されるといった実績が生まれています。

 現在は東京本社の他に、滋賀県、福島県、熊本県などに拠点を構え、2021年に国内生産量1万トンを達成。2025年までに国内拠点を10カ所まで拡大することを目標にしています。

 地産地消のモデルを実現していくためには、地元の人を巻き込む必要があります。そのときに神谷さんが意識してきたのは、ウィンウィンな関係を大切にすることです。事業の意義や影響を話し合い、各地域の事情に合わせてパートナーシップを結んでいきます。

 「ウィンウィンな関係を作るために重要なのは、できることとできないことをハッキリと伝えることです。当社は、どんな作物もプラスチックに変えられる魔法の材料や技術を持っているわけではありません。“世の中のためになること”と“ビジネス”を共存させるために、できることとできないことのハッキリとした数値化・明文化を意識しています」

 その他、同社のライスレジンは現在、赤ちゃんがなめても安全な「お米のおもちゃ」(ピープル社との共同開発)や日本郵便のレジ袋など、さまざまな場面で採用が進んでいます。

 2030年までに、バイオマスプラスチックの国内出荷量を197万トンまで増やすという目標を掲げた日本政府。対して、日本有機資源協会が公表しているデータによると、2019年時点で出荷量はまだ5万トンにも届いていません。「日本でもさまざまなメーカーが生産量を向上すべく努力をしているが、目標にはほど遠い状況。競合他社をライバルではなくパートナーとしてとらえ、みんなで市場を作っていかなければならない」と神谷さんは強調します。最後に、神谷さんから今後の展望について語られ、イベントは締めくくられました。

 「ライスレジンをアジアを代表するブランドにすること、そして世界で100年愛される企業になることを目指しています。今後は、東京都2個分の面積と言われている全国の耕作放棄地を水田に戻し、ライスレジン用のコメ作りを行うプロジェクトや、新たな素材の研究などの挑戦を続けていきます。東南アジアやアフリカなど、海外拠点の展開も注力していきたいですね」 

三菱地所が運営する「東京21cクラブ」は、ビジネス・アクセス共に利便性の高い東京駅前・新丸の内ビルに拠点を構え、国内外の先端スタートアップや大企業、その他様々なプロフェッショナル約600名が集うオープンイノベーションに特化した起業家支援コミュニティです。オンラインを含むイベントやセミナーなどを通じて、ミートアップなどの企業同士の交流の場を提供し、新規事業開発支援を行っています。

【CONNECT in 丸の内】では、三菱地所が運営する国内外のスタートアップとそのサポーター約600名が集う起業家支援コミュニティ「東京21cクラブ」による、イノベーション創出支援を目的とした活動の一部をご紹介します! アーカイブはこちら

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