CONNECT in 丸の内

新たなイノベーションを創造するために、今知るべき外部リソースの活用術 (2/2ページ)

東京21cクラブ
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 外部のエキスパートと連携し、暮らしやすい街づくりを

 「エキスパート人材との連携は欠かせない一方で、外部の人材の力をどの程度借りるかは、しっかりと検討する必要がある」と語るのは、春日さん。

 新卒で三菱地所に入社した春日さんは、主に不動産開発に携わり、直近ではDX推進部にてDtoC領域のデータ&UXデザインを担当しています。

 三菱地所は、2021年6月に「三菱地所デジタルビジョン」を策定。オンライン・オフラインをかけ合わせた体験を提供することで生活者にとっての暮らしやすい街を実現する、「新しい街づくり」を推し進めています。

春日「これまでは『街づくり=オフラインの体験構築』というイメージがありました。しかし、新型コロナウイルスが流行してからは、OMO(Online Merges with Offline)化、つまりオンラインとオフラインの融合が進みました。そのため、オフラインの体験構築に偏った考え方では生活者との接点が不足し、暮らしやすい街づくりを推進できません」

 三菱地所では、2021年4月に丸の内ポイントアプリ、2021年9月にみなとみらいポイントアプリをリリースしています。これらのサービスを通して、ユーザーとの様々なコミュニケーションやコミュニティを創出していく予定だと言います。

 さらに、街で利用できる共通認証ID「Machi Pass」を開発し、街で展開されるモビリティやデリバリーサービスなどのオンラインサービスと、実店舗での買い物などのオフラインサービスを一つのIDで利用できるようにしています。

春日「三菱地所の強みであるお客様とのリアルでの接点に加え、これからはオンライン上での接点も増やしていきたいです。オフライン・オンラインで得たデータを元に個人の行動パターンを把握し、社会全体でオープンな街づくりを実現していきます」

 DXを推進していく上では、「社内の人材のみならず、外部のエキスパート人材が持つ力も活用し、チームとして一緒に取り組むことが不可欠だ」と春日さんは語ります。

春日「我々のようなデベロッパーは、自社のみで建物を建てられるわけではありません。外部のデザイナーや設計士など、いろいろな方との協働がもともと必要な業態ですから、デジタル分野においても社外とのチームアップの質を重視しています。

 ただし、不動産開発と同様、デジタル分野においてもすべてを外部に任せてしまうと、自社に情報が全く残らないといった事態を引き起こす場合があります。ある程度の内製は大切であり、外部リソース活用との適切なバランスは、今後も探っていかなければなりません」

 さらなる挑戦を求めて世界中のエキスパートが集結

 両社の取り組みとエキスパート人材の活用について語られた後、矢野さんは海外のエキスパート人材を集めた方法についても言及しました。

矢野「SWAT Labを始めた当初は世界中のエンジニアを集め、日本企業をターゲットに英語でサービスを提供しようと考えていました。しかし、『英語では分からない』と日本の企業からあまり受け入れられませんでした。

 そこで日本語が可能なエキスパートという視点で募集したところ、海外在住の日本人が集まってくれました。もともと私自身が海外に住んでおり、共感を得やすかったのもあるかもしれませんが、元外資系戦略コンサルタントの方や、イグジット経験のある起業家、海外の著名スタートアップで働いている方、アートやデザイン等海外のほうが高い評価を得ている職種で海外在住ではあるが日本企業に貢献したいと考えている方、また市場ではトップクラスのキャリアを持ちながら家族の海外駐在同伴等で自身の持っている力を活かしきれていないと感じる方々が挑戦を求めて、我々のプラットフォームに参画してくれました」

 「企業」と「個人」の関係性を見直したい

 次に語られたのは、イノベーションを創造するためのエキスパート人材の活用について。矢野さんは、スピード感を持ってエキスパート人材をチームに取り込むことがビジネスの鍵になると語ります。

矢野「SWAT Labを通してお客様とお話する中で、日本の大企業の多くが、新しいものを作ることに課題を抱えていると感じています。新規事業やイノベーティブな取り組みにはスピード感が重要です。私たちのサービスは、世界中から集まった優れた人たちをチーム化し、雇用という形以外でその力を借りられる仕組みを提供しています。人の流れを整備し、信用あるエキスパートと意見交換可能なプラットフォームとして、活躍できると考えています」

 最後に、お二人から今後の展望が語られました。

矢野「企業と人との新しい関係を作るインフラでありたいと考えています。これまでは、学歴や職歴など、履歴書に書くような情報が信用を担保していました。しかし、それがベストだとは限りません。どの組織に所属しているかではなく、仕事の内容や実績によって信用が担保される仕組みを作りたいです。

 将来的には、ユーザーへの価値提供を通したエキスパート一人ひとりの信用が蓄積されることによって、採用や就職などのマクロな仕組みを、このプラットフォームを通して変容させていきたいです」

春日「街と個人の関係性を再構築していきたいと考えています。やはり、街で生活する一人ひとりの情報が分からなければ、正しいプロダクトは作れません。『企業が作る街』から『個人が街全体をデザイン』していく考え方にシフトし、街・企業・個人の関わり方を新しくしていきたいです」

三菱地所が運営する「東京21cクラブ」は、ビジネス・アクセス共に利便性の高い東京駅前・新丸の内ビルに拠点を構え、国内外の先端スタートアップや大企業、その他様々なプロフェッショナル約600名が集うオープンイノベーションに特化した起業家支援コミュニティです。オンラインを含むイベントやセミナーなどを通じて、ミートアップなどの企業同士の交流の場を提供し、新規事業開発支援を行っています。

【CONNECT in 丸の内】では、三菱地所が運営する国内外のスタートアップとそのサポーター約600名が集う起業家支援コミュニティ「東京21cクラブ」による、イノベーション創出支援を目的とした活動の一部をご紹介します! アーカイブはこちら

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