【社長を目指す方程式】運を操りキャリアを切り拓く 5つの心構えと5つのレッスン
【社長を目指す方程式】 こんにちは、経営者JPの井上です。
活躍する経営者は「運」や「ツキ」を持っていると言われます。確かにそうとしか思えないような千載一遇のチャンスをものにしていたり、目くるめくヒット作を放ち、誰もが羨む立場を掴み取っていたりします。
「運」や「ツキ」というと、その人が持って生まれたもののように思われている方も少なくないのではないでしょうか。結局その人の生まれや育ちだよね、と。しかし、「運」や「ツキ」は引き寄せ、操作し、使いこなすことで自分の仕事やキャリアに活かすことができるのです。「えっ、ほんと?」と訝しんでいるあなた、今からその理論と方法をご紹介しますので、お楽しみに。
「その幸運は、偶然ではないんです!」
米スタンフォード大学の心理学者、ジョン・D・クランボルツ教授が、いわゆる成功者と定義できる人たち(莫大な財を成した、名声や地位を獲得した等)を対象に、その成功の秘訣やキャリアを分析・研究しました。この調査で明らかになったところによれば、人生の節目節目の出来事やターニングポイントになった要因の8割が、本人も思いもよらなかった偶然の出来事や出会いだったとのこと。
象徴的な仕事やキャリア展開の8割もが、偶然の出来事や出会いから成っている。どうでしょう、皆さんは実感ありますか?
成功者たちは、この偶然を柔軟に受け止め、計画的にデザインしていくことでキャリアを形成、成功に到達していることが、学術的に明らかにされているのです。このクランボルツの理論を「プランド・ハップンスタンス・セオリー(計画的偶発性理論)」と言います。
1999年に発表されたこの理論は、キャリア関連の研究やビジネスに関わる人達の間で瞬く間に有名なものとなりました。読者の皆さんも、キャリアに関する情報に興味のある方は目にしたことがあるのではないでしょうか。
変化する環境の中で、どうキャリアを考えれば良いのか?
クランボルツ教授は元々キャリア論の研究をしてきた人で、その土台を「社会的学習理論」に置いています。
今回の社長を目指す法則・方程式:
プランド・ハップンスタンス・セオリー(計画的偶発性理論)
折しも米国では1980年代に産業再編の嵐が吹き荒れ(日米貿易摩擦の頃ですね)、その中でビジネスパーソンはキャリアについて次の3つのように考え動く必要があることを、当時クランボルツは指摘しました。
(1)すでにある特性に基づいた意思決定ではなく、自分の能力や興味を広げていく必要がある
(2)職業が安定したものであると思い込むのではなく、変化し続ける仕事に対して準備をしなければならない
(3)行動を起こすように勇気付けられる必要がある
そしてクランボルツは、キャリアカウンセリングの目標を次のようにまとめています。
「現在クライアント(=キャリア相談者、転職相談者)が有している興味・価値・能力にマッチした職業を見つけることではなく、変化し続ける仕事環境において満足のいく人生をクライアントが作り出していけるようにスキル・興味・信念・価値・職業習慣、個人特性に関する学習を促進させること」
私自身も日々、幹部や経営職の方々へのキャリアアドバイスを行う立場を担っていますが、まさに今、日本で働く私たちにとっても、全く同様のことが必要だと実感しています。これまで培った経験やスキル、現時点での興味関心だけにマッチした職務を見て転職先を決めることは、本人にも採用企業側にも、「その後」という意味において必ずしも望ましいものではないのです。
キャリアの意思決定など、するな?!
「私たちは、人々がキャリアについての意思決定をするための支援に多くの時間を費やしてきました。しかし、みなさんには、今後一切キャリアの意思決定をしないで欲しいのです」
なんと!クランボルツはその著書『その幸運は偶然ではないんです!』(ダイヤモンド社)で、このように述べています。それはなぜでしょう?
キャリアについての意思決定をするとは、一つの固定したキャリアを宣言することになりますが、自分自身も取り巻く環境も、時事刻々と変化し続ける現代において、それは果たして正しい選択でしょうか?ということを、クランボルツは投げかけているのだと思います。同感です。
私たちのキャリアは、用意周到に計画できるものではなく、予期できない偶発的な出来事によって決定される。偶然を柔軟に受け止め、その結果を計画的にデザインしていくことでこそ、良いキャリアを展開できるのです。
さて、クランボルツが「計画的偶発性理論」の研究で明らかにしたところによると、偶然を味方につけるために、私たちが持つべき心構えは「好奇心」「粘り強さ」「柔軟性」「楽観性」「リスクテーク」の5つとのこと。
今回の社長を目指す法則・方程式:
プランド・ハップンスタンス・セオリー(計画的偶発性理論)
この5つの心構えを踏まえつつ、クランボルツがキャリアアドバイスする5つのレッスンを以下にご紹介します(※キャリアカウンセラー向けのレッスンなので、読み手がキャリアカウンセラーの表現となっています。念のためご留意ください)。
選択肢は常にオープンに。想定外の出来事を最大限に活用せよ!
・レッスン(1)「想定外の出来事がキャリアに影響を及ぼすことは普通のことであり、かつ当然のことであること、そして望ましいことであることを認識しなさい」
・レッスン(2)「未決定を治療すべき問題としてとらえるのではなく、用意周到なオープンマインドな状況とみなしなさい。その状態は思いがけない未来の出来事をクライアントが利用することを可能にする」
仕事の目標を定めることやキャリアのイメージを持つことは大事なことだと思います。それがなければ、何かを学んだり行動する源泉が湧くことはありませんから。
ただ、クランボルツが説くように、それに固執することもまた、問題だと考えます。人生には、予測不可能なことのほうが多いですし、私たちは常に、日々遭遇する出来事や人たちから影響を受け続けています。
だから私たちは、結果がわからないときでも行動を起こし新たなチャンスを切り開き、選択肢は常にオープンにして、想定外の出来事を最大限に活用する姿勢が大事なのです。
行動を起こし続けることで、あなたの運は創り出せる!
・レッスン(3)「新しい活動を試みたり、新しい興味を開発したり、古い信念に疑問を呈したり、生涯にわたる学習を続けるための機会として、想定外の出来事を利用する方法をクライアントに教えなさい」
・レッスン(4)「将来、有益な想定外の出来事が起こりやすくなるように行動を始めることをクライアントに教えなさい」
・レッスン(5)「クライアントがキャリアを通して学習できるよう継続的な支援をしっかり提供しなさい」
今回の社長を目指す法則・方程式:
プランド・ハップンスタンス・セオリー(計画的偶発性理論)
クランボルツの強いメッセージが、「行動量を増やすこと」と「継続的に学習すること」です。私がクランボルツのアドバイスが実際的だなと感じ、また好きなのはこのあたりの主張です。
クランボルツは『その幸運は偶然ではないんです!』の中でも、結果が見えなくてもやってみよう、どんどん間違えよう、と私たちにエールを送り、背中を強く押します。
一度夢が破れても挫けない。次の夢に向かえば良い。結果が見えなくてもやってみる。どんどん間違える。学び続ける。自分の中にある壁を打ち破る!
どうです? 元気と勇気が湧いてきませんか?
いつも好奇心を持ち、いつも学び、いつも挑戦する!
行動を起こすことで、私たちは自分の運を創り出すことができるのです。
「運は自分で創り出せる」。新年度、ぜひ運を味方につけた新スタートを切りましょう!
【プロフィール】井上和幸(いのうえ・かずゆき)
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
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【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。
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