【5時から作家塾】食事補助は従業員のお小遣いを守るだけじゃない、「社員の健康」への投資だ!
「2019年サラリーマンのお小遣い調査」(新生銀行調査)によると男性会社員の毎月のお小遣い総額は前年から3089円下がり36747円だった。これは調査を始めた1979年以来、過去2番目に低い金額だ。(最低額は1982年の34100円)。
女性会社員の毎月のお小遣い額も前年から1585円下がり33269円だった。これにいたっては過去最も低い金額だ。
昼食代は男性会社員555円、女性会社員は581円。これでは一般的な定食屋さんでは食べられないだろう。一体どうしてしまったというのか?
こうなったら企業だって大事な従業員を守るために本気で動き出すことが急務となる。その最も効果的手段の1つが福利厚生だ。
マンパワーグループが行ったアンケ-ト調査によると「会社の福利厚生としてよいと思うもの」では「食堂・昼食補助」が「住宅補助・家賃補助」に次いで2位、「実際にあった福利厚生でよかったもの」では第1位となっている。
しかし日本では企業が従業員に非課税で食事補助として支給できる金額は月3500円。これはフランス、ベルギーなどヨーロッパ諸国と比較すると約1/3だ。仮に3500円を超えると、超えた分だけではなく3500円も含めた全てが給料のように所得税などで天引きされてしまう。これでは従業員を救うという目的としては本末転倒だ。
これでは福利厚生として成り立つのか? 単なる食事補助という域を超えた目的があるのではないか?
今回取材をしたのはフランス発、社員食堂を設けなくても食事補助を気軽に導入できる仕組みを提供している会社、株式会社エデンレッドジャパンだ。
2000社以上にサービスを導入し、利用率99%、利用者数15万人という実績を誇る。
食事補助の歴史は古い
実は福利厚生としての食事補助は古くからあった。第2次世界大戦直後イギリスで生まれ、1960年代にはフランスでも始まった。
フランスでは企業の従業員にとってはもちろん、飲食店の利益という観点でも食事補助は非常に効果的なものだと大きく注目を集めた。80年代に入ると政府が舵を取り、食事補助を法的に「非課税」のものとしたのだ。
そこから食事補助は世界各地へと広がる。ヨーロッパ中にはもちろん、中南米でも普及していった。
日本でも食事補助は今に始まったことではない。1950年代から始まった集団就職の際、衣食住補助の一環として食事補助は存在していた。しかし働き方が多様化した今、福利厚生の在り方も変わろうとしているのだ。
食事補助が普及する土台
「食に対しての関心が高い、企業が従業員を家族のように考えてサポートをする文化がある、この2つが揃った国では我々が提供する福利厚生による食事補助は高い評価を受けています。これはフランスと日本に共通するものなのではないでしょうか?また食に対しての関心ということでは、日本は世界一だと思います。安価なものでも高価なものでもほぼ確実に美味しく安全に外食できます。これは世界ではめずらしいことなのです。」(同社CEO、マリック・ルマーヌさん)
同社の提供する「チケットレストラン タッチ」は電子カードを使った食事補助福利厚生サービスだ。使い方はシンプルだ。企業が従業員にカードを配布し、企業支給分と従業員負担分の合計額を企業がカードにチャージする。
実質的に食事の半額が会社から補助されたことになる。利用できる店舗は飲食店、コンビニ、スーパーなど59000店以上だ。
「社員食堂のある大企業だけでなく、全ての労働者に公平な食事補助サービスを提供したい。これだけ店舗数があれば従業員の方も選び放題で、昼食の時間が楽しくなります。フランスでは朝出勤するなり昼食のことを考えてワクワクしている人がたくさんいるんです。これは日本でも是非広まって欲しい文化ですね。」(マリック・ルマーヌさん)
社員の健康は会社が行う投資
同社が2018年に行った食事券タイプの「チケットレストラン」ユーザー企業と従業員アンケートによると食事券による食事補助によって87%が健康に良い食事を摂るようになり、76%が食事を摂らない回数が減ったという。
そう、同社の食事補助の大きな特徴は旧来の「ただ衣食住のための食事補助」ではなく「社員の健康を『投資』としてとらえている点」だ。社員の小遣い危機を救うことにとどまらず、社員の健康は将来の財産と考えているのだ。
「日本では仕事が忙しいからといってデスクの上でほんの短時間で食事をしたり、節約のため食事をしない人も多いといいます。体にいいわけがありません。しっかりと食事を摂ることは健康に直結し、結果生産性もアップする、まさに正のスパイラルなのです。」(マリック・ルマーヌさん)
今後は政府が食事補助の非課税金額の上限を上げたり、企業が昼食時間を見直して従業員がゆったりと過ごせるような環境づくりに力を入れたり、従業員を支える側が変化をしていく必要がありそうだ。(ジャイアント佐藤/5時から作家塾(R))
【プロフィール】5時から作家塾(R)
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。
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