- 「緊急事態宣言によってGWの個人消費が2.6兆円減!」
26日(月曜日)に、このような見出しのニュースが飛び交いました。「2.6兆円」はなかなかのインパクトですね。しかし、この「2.6兆円減」とは本当に深刻なのでしょうか? もし、例年のGW(ゴールデンウィーク)が1000兆円であり、それが997.4兆円になったとしたらどうでしょうか。それほど深刻ではないですよね。
2019年にも、年金の運用について「8兆円の損失が出た!」というニュースで大騒ぎしたことがありましたが、これも「8兆円」という普段聞きなれない桁の金額がインパクトを与えていて大騒ぎしているだけで、よく見てみると、運用を始めた2001年からの累計黒字の15%ほどであり、「年金運用の失敗・破綻」とは程遠いものでした。
数字は、単体では意味をもたない
ビジネスにおける「数字」は比較対象があって初めて価値を持ちます。「2兆円」も「8兆円」もその札束だけみたら巨額に見えるかもしれませんが、本当に深刻なのかどうかは比較対象を設定してみなければわからないのです。
割り算には2つのタイプがある
そこで今日は「割り算」の授業です。まず、割り算は求めるものにより2種類存在します。
【1】同じ単位同士で割って「何倍か?」を求める
私はリンゴを20個もっている。彼はリンゴを50個持っている。
リンゴ20個÷リンゴ50個=0.4(倍)です。これを%になおすと40%と表現することもできます。逆に、リンゴ50個÷リンゴ20個=2.5(倍)です。これも250%と表すこともできますね。
20と50という数字はそれぞれ「リンゴの個数」という同じ単位同士なので、「何倍か?」が求まるというわけです。
【2】違う単位のもので割って「割るもの1つ当たりは?」を求める
私はリンゴを400個持っている。それでリンゴは4000円する。
4000円÷400個=10という割り算では、違う単位(円と個)で割っているので、割るもの(リンゴの個数)1つあたり、つまり「リンゴ1個あたり」が求まります。よって、この「10」はリンゴ1個当たりの価格(10円)です。ちなみに4000円のほうは「割られる数」と呼ばれています。
また、逆に400個÷4000円=0.1という割り算も可能です。これも割るもの(リンゴの価格)1つあたり、つまり「1円あたり」が求まります。よって1円あたりリンゴ0.1個です。
この「2つの割り算」を理解し、使う習慣をつけることによって、2つの効果が期待できます。
- 実際に数字がどのようなインパクトなのかを把握することができる
- 割り算をするために、過去の数字、他社などの数字にも目が向くようになる
「2.6兆円」は何で割ることができるか?
冒頭の「GWの個人消費が緊急事態宣言により2.6兆円減」というニュースに関しても、「2.6兆円という数字を何で割ることができるか?」と考えることが大切です。
コロナ禍前だった2019年のGW個人消費(7.6兆円)と比較してみましょう。
2.6兆円÷7.6兆円=0.34なので34%減です。これだけで見るとどうやら大きなインパクトのようです。
では「1日あたりは?」を求めるタイプの割り算をしてみます。まず7.6兆円(2019年のGW個人消費)-2.6兆円(2021年のGW個人消費予測)=5兆円です。そして、今年のGWは7日間なのに対し、2019年のGWは実は4月27日~5月6日までの10日間もあったのでこのようになります。
2019年 7.6兆円÷10日間=0.76兆円(1日あたり)
2021年 5兆円÷7日間=0.714兆円(1日あたり)
どうでしょうか。話がだいぶ変わってくると思います。「2.6兆円減」の見方も変わるのではないでしょうか。
目の前の数字がもつ意外なメッセージ
「GWの国内線予約数は110万人ほどで前年の5倍近い」という数字も発表になっています。「110万人!」「5倍!」だけで航空会社の売上が5倍に増えたと判断してはいけません。
今年の予約数÷前年の予約数=5
これ以外にも、できそうな割り算はないかと考える姿勢が大事です。たとえば「座席提供数」で割ってみましょう。座席提供数は220万人分ほどですので
110万人÷220万人=0.5
つまり空席率は50%ほどですね。これは間違いなく赤字でしょう。2019年の座席提供数で割ると? と考えると、当時は440万人分くらいだったようなので
110万人÷440万人=0.25
つまり空席率は75%ですね。2019年から機材自体は残っていると仮定すると、稼働率という考え方でいえば25%ということです。
このように、「何か割れるものはないか?」と探すことで、目の前の数字が意外なメッセージを持つことは少なくありません。
「とにかく割ってみる」クセをつける
みなさんも、「とりあえず割り算をしてみる」という姿勢で色々と計算してみてください。世の中には数字だけで印象付けようとする記事やメッセージが多くなっています。ぜひ、「割ってから考える」という習慣によって、数字の絶対的な数で一喜一憂する状況からぜひ脱却してください。
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