脱官製春闘始まる 労使フォーラム、賃上げ焦点 (1/2ページ)

第122回経団連労使フォーラムで挨拶する、経団連の中西宏明会長=28日、東京都千代田区(荻窪佳撮影)
第122回経団連労使フォーラムで挨拶する、経団連の中西宏明会長=28日、東京都千代田区(荻窪佳撮影)【拡大】

 主要企業の労使が意見を交わす経団連主催の「労使フォーラム」が28日、東京都内で開かれ、平成31年春闘が事実上スタートした。22日発表の経団連の春闘指針「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」が安倍晋三首相の賃上げ要請に触れないなど、今春闘は脱「官製」が鮮明だが、景気の先行き不安の中で、デフレ脱却につなぐ賃上げをどう確保するか注目される。

 28日の労使フォーラムには、経団連の中西宏明会長と連合の神津里季生(こうづりきお)会長が登壇。中西氏は過去5年連続の賃上げに触れ、「政府要請による『官製春闘』との批判もあったが、賃上げの必要性は政府と経済界の共通認識」と指摘。31年春闘でも、「経済の好循環のため、業績改善企業は年収ベースでの賃上げと、総合的な処遇改善に積極対応してほしい」と語った。

 ただ、経団連は、基本給を引き上げるベースアップ(ベア)は「一つの選択肢」とベア重視からの転換を打ち出す。中西氏は「自社の支払い能力を踏まえ、主体的判断で柔軟に取り組むよう」経営側に求めた。

 これに対し、連合は月例賃金の引き上げに加え、賃金水準を追求する方針にこだわる。連合の神津氏は「賃上げの過程で拡大した(大企業と中小企業などの)格差是正のため、賃金の底上げを主張してきた。このまま景気不安が強まれば、永久に取り返しがつかなくなる」と訴えた。連合は中小企業の賃上げ原資確保のため、大企業に取引価格の適正化も求める。

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