ランボルギーニならぬ「ダンボルギーニ」? 段ボールを使ってイタリアの高級スーパーカーを実物大で再現したものだ。製作したのは、宮城県石巻市で米国製の強化段ボールを扱っている今野梱包。本家・ランボルギーニも認めたというダンボルギーニを見に、展示されている同県女川町の商業施設「シーパルピア女川」に向かった。
実際に見ると、ピンクの車体は、段ボールとは思えないほど精巧な作りだ。そして何より、見とれるほど格好いい。東日本大震災の影響の中、地元で夢を描けるようにしたいという思いと、子供の頃から憧れが、ランボルギーニを段ボールで作ったきっかけ、と今野英樹社長は言う。
だから、その色も単なるピンクではない。幸せなイメージの平和な色で、色を失ってしまった震災後の町の復活を願う気持ち、今野社長の生まれ育った石巻市桃生(ものう)町の桃色、そして鮮やかな色で鮮烈に地元を発信したいという意味が込められている。
さて、ダンボルギーニが完成し、話題になり始めると、当然本家の反応が気になる。叱責も覚悟したらしいが、国内のランボルギーニの正規販売店からあったのは協力の申し出。シーパルピア女川のオープンの日、1日限定でダンボルギーニとランボルギーニの実物が一緒に展示できることとなった。
「誰かを喜ばせたい」という思いで、多くの地域活性化のプロジェクトに関わってきた今野社長。だからこそ、短期的に達成できるものではないとも言う。ダンボルギーニを見て「かっこいい、いつかオレも!」と思う子供たち、地元で夢を描ける子供たちがたくさん出てくることこそが、今後の地域の活性化につながるのではないかと語る。
休日ともなるとダンボルギーニを見るために県内外から多くの観光客がやってくる。店舗に並ぶ段ボール製の恐竜や昆虫キットも人気だ。次世代に受け渡せる地域づくりは、これからも続く。
【サスティナブル】
1992年の第1回地球環境サミットで初めて提唱された「持続可能な発展」という考え方。以後、国や産業の発展には自然環境への配慮が不可欠であることが世界的に広く浸透している。本コラムでは、サスティナブルな社会を目指す日本各地の取り組みを紹介する。
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ふじむら・ゆきこ 宮城テレビ出身。現在、国際会議などの日英司会やナレーション、通訳などを行うバイリンガルアナウンサーとして活動中。
【局アナnet】 2004年に創設された、全国の局アナ経験者が登録するネットワークサイト。報道記者やディレクターを兼ねたアナウンサーが多く、映像・音声コンテンツの制作サービスを行っている。自社メディア「Local Topics Japan」(http://lt-j.com/)で地方のトピックス動画を海外向けに配信中。