【サスティナブルにっぽん~山梨県】ジビエを味わい森林を救おう 鈴木春花

人気メニューの「山梨県産ジビエ色々盛り合わせプレート」
人気メニューの「山梨県産ジビエ色々盛り合わせプレート」【拡大】

  • 鹿もも肉のステーキ=Urban's camp提供
  • 「Urban’scamp」オーナーの尾又慶寛さん
  • 筆者も「山梨県産ジビエ色々盛り合わせプレート」に挑戦!
  • 店では鹿の皮を使ったバッグなども販売
  • 鈴木春花

 野生の風味を楽しむ食材として近年注目を集めているのが、狩猟で捕獲した野生鳥獣の食肉、ジビエだ。秋から冬が旬ということで、富士山のふもとへジビエを食しに出掛けた。

 訪れたのは、山梨県富士吉田市に昨年夏にオープンした「Urban's camp(アーバンズ・キャンプ)」。町でキャンプ気分とジビエを味わえるオーガニックカフェ&レストランだ。富士山レンジャーとして国立公園のパトロールに当たっていたオーナーの尾又慶寛さんが、資源の活用と森林環境の保全に繋げようと、2015年に法人を立ち上げ、甲府にジビエ専門のワインバルをオープン。昨年、富士山の麓に移転した。

 山梨のジビエといえば、一般的な食肉より脂肪が少なく、赤身の旨みを楽しめるヘルシーな食材として注目されている鹿の肉だ。四方を山に囲まれた森林県でニホンジカが多く生息しており、森林開発や環境の変化などで、10年以上前から鹿の食害が深刻化。鹿を計画的に捕獲し、利用しようという動きが盛んになるにつれて、鹿肉を使ったカレー料理を提供する店が、県内の割と広い地域に存在するようになった。

 カレー料理はジビエ独特の臭みを分からなくするために煮込んでいる、という印象もあるが、今回筆者が出会ったジビエは、これまでのイメージを覆すものだった。人気メニューで海外からの観光客にも好評な「山梨県産ジビエ色々盛り合わせプレート」には「煮込んでいない鹿肉」がたっぷり。鹿肉と猪肉を合わせた生ハム、白ワインで煮込みラードで固めたリエットなど味も食感も様々で「独特の臭み」ではなく、「深いうまみ」を堪能できた。盛り合わせプレートの他にも、ステーキやパスタなどジビエを使ったメニューが豊富だ。

 富士山麓で採れた鹿肉を主に仕入れているそうなのだが、これがうまさの秘密でもある。色んなジビエを食べ比べている尾又さんによると、もともと、山に囲まれた山梨で生息するシカは足腰が鍛えられていて脂肪が少なく、おいしいらしい。

 さらに、県が昨年度から始めた「やまなしジビエ認証制度」も一役買っている。これは、厳しい衛生管理・処理を行っている鹿食肉加工施設を「やまなしジビエ施設」と認証するもので、「Urban's camp」は富士河口湖町と北杜市明野町のやまなしジビエ施設から肉を仕入れているのである。野生鹿の捕獲方法から鮮度を保った処理方法など厳しく管理されているため、味のいいジビエを確保できるそうだ。

 私たちがおいしくジビエを食べることが、森林環境の保全に繋がっていく、と理解すると、山梨ジビエの味わいも一層深くなる。

【サスティナブルとは】

1992年の第1回地球環境サミットで初めて提唱された「持続可能な発展」という考え方。以後、国や産業の発展には自然環境への配慮が不可欠であることが世界的に広く浸透している。本コラムでは、サスティナブルな社会を目指す日本各地の取り組みを紹介する。

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 すずき・はるか 元テレビ山梨アナウンサー、現在もテレビ山梨の情報番組でMCを務めるほか、テレビやラジオ、ニュース出演、司会、エッセイ執筆、日本茶アンバサダーとして活動中。

【局アナnet】 2004年に創設された、全国の局アナ経験者が登録するネットワークサイト。報道記者やディレクターを兼ねたアナウンサーが多く、映像・音声コンテンツの制作サービスを行っている。自社メディア「Local Topics Japan」(http://lt-j.com/)で地方のトピックス動画を海外向けに配信中。