しかも大企業等の場合、その会社自体の健保組合があって、そこが負担してくれますから、さらに本人負担が少なくなるケースもあります。また、治療費だけではなく、傷病手当金という制度もあり、病気やケガで会社を休んだ場合、1年半にわたってお給料の三分の二が支給されます。こういった制度がどうなっているのかをよく調べることによって、現在入っている民間の医療保険などを減らすことができ、その分を貯蓄や投資に回すことで老後資金の準備ができます。
生命保険を検討する前にチェック!
生命保険も同様です。団体定期生命保険がある会社なら、保険料はかなり安く抑えられます。また、公的年金には遺族年金という制度がありますし、会社から弔慰金が出る場合もあります。生命保険に入るのなら、そういったものを総合的に判断して必要な部分に対して必要なだけ入ればいいわけで、これによってもかなり無駄な出費を防ぐことができます。したがって、これらの社会保険制度についてはもし自分に何かあった時にこうしたガイドブックを見て国や会社から援助してもらえるお金にどのようなものがあるかを知るべきでしょう。
財形貯蓄や住宅ローンの制度も要確認
2つ目は貯蓄、ローンなどの利子補給や奨励金。医療や保険だけではなく、個人の資産形成にあたっても会社が様々な補助金や利子補給をしている場合があります。最近ではあまり利用する人も少なく、制度自体が無くなっている会社もありますが、財形貯蓄などでは残高に対して一定の補助金が付与されることもあります。また、従業員持株会等は本人の掛け金に対して10%以上も奨励金を付与しているところは決して珍しくありません。
さらに住宅ローンなどについても、会社が一定の利子補給をしてくれる場合、低利で融資を受けられるメリットもあります。昨今は低金利の上に税制優遇もあるため、そのメリットがあまり感じられませんが、将来金利が上昇した時などにはこういう補助があるのはとても有利です。
意外と知らない人が多い企業年金
3つ目は退職金と企業年金の制度。退職金とはどういうものかは知っていても企業年金については知らないという人が結構多いのです。中には公的年金と企業年金をごっちゃに考えている人もいます。ところが企業年金や退職金というのはとても大切なものです。老後生活を支える一番土台になるのは言うまでもなく公的年金ですが、その上に乗っかってくるのがこの「退職金・企業年金」だからです。自助努力で老後に備えるのはこれらの二つの土台をベースにし、それでも足りないと思う場合に自分で老後資金を貯めれば良いのです。したがって、まずは公的年金に加えて、会社の退職金や企業年金があるのかどうか、あるとすればどのような仕組みになっているのかを知ることが大切です。多くの場合、これも社内のイントラ等で公開されていることが多いので、見ておいた方が良いでしょう。