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発達障害の学生の就職、連携してサポート 関西で新しい取り組み (3/4ページ)

 この女性によると、診断書があってもなくても、発達障害のために大学生活や就職で壁に直面する学生は少なくないという。たとえば発達障害の一種である自閉症スペクトラム障害(ASD)の場合、暗黙のルールが伝わらない、会話が一方的、臨機応変な対応や予定の変更が苦手-などの特性があるが、一方で、集中力が高く、学業の成績が良好で、得意な分野で才能を発揮して、スムーズに進学する例もある。だが、大学に入ると自分で決めなければならないことが急に増え、学業や生活、研究室の濃密な人間関係などで悩みを抱えることがある。こうした学生に対応するため、この私立大では、8年前に発達障害の学生を支える専門のコーディネーターを置くようになったという。

 発達障害の学生が最後に直面するのが、就職活動だ。コーディネーターの女性は「大学は学習支援も行うが、最終目標は卒業後、ちゃんと働いて納税者になること。それは本人、保護者、支援者が一番不安に思うことでもある。企業の理解が進み、いろんな就職の選択肢ができればありがたい」と訴える。

 不足する専門スタッフ、全国の大学共通の課題

 こうした課題は全国の大学が共通して抱えており、文部科学省は29年度から、障害のある学生への支援を組織的に行うための「社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業」を実施。西日本では京都大を中心としたグループが選定され、大学と自治体、民間の就労支援事業所が連携を進めてきた。

 グループの中心となる京都大学高等教育アクセシビリティプラットフォームの舩越高樹・特定准教授(障害学生支援)は「大学では専門スタッフが不足しているところもあり、行政や民間の力を借りる仕組みが必要。文部科学省の事業が終了しても持続できるよう、体制を整えたい」と話す。

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