「社会から置いてけぼりに」負のスパイラル
「連敗が続くと、まるで底なし沼にいるようで。あがけばあがくほど、沈んでいく。そういう自分しかイメージできなくなってくるんです。もう、諦めるしかないって。40過ぎて母親と2人暮らしで非正規だと、世間はまともな職につけない、どうしようもない『パラサイト中年』だっていう目で見ます。親戚からは『しっかりしなさいよ』とか、『お母さんも心配してるぞ』とか言われるし、だんだんと人と関わりたくなくなるんですよ。
人と会えば会うだけ、他人がねたましくなる一方で、自分が情けなくて。なんか社会から置いてけぼりになったような気分です」
彼は苦笑いしながら明るく話してくれましたが、経験した人しか分からない重い言葉の数々に、私は、どう返していいのか分かりませんでした。
彼の話からも分かるように、「氷河期世代」は就職時の不況に加え、小泉政権の構造改革による非正規雇用の拡大、さらには日本の会社組織がスリム化で管理職を減らしたことなど、さまざまな「社会的要因」が複雑に絡み合い、負のスパイラルに入り込んだ世代です。
単なる雇用形態の違いが「階級格差」になっていることも、もっともっと問題にする必要があります。
時間もお金も限られている
安倍首相が氷河期世代支援を訴えた経済財政諮問会議では、非正規雇用の正社員化を進めるにあたり「リカレント教育(学び直し)促進策を拡充すべき」という提言があったと報じられていますが、いったい「どこで、どんな風に、リカレント教育」を進めようというのでしょうか。
もちろんスキルの習得などの学び直しは必要です。しかしながら、40歳を過ぎると年老いた親の問題が加わり、じっくりと就職活動する時間的余裕も、スキルや資格取得に費やす時間も金銭的余裕も制限されます。
そんな状況下でどうやって、学び直しさせるのか?
「もう、諦めるしかない」--。この言葉の重さを考えて、実効性のある「氷河期支援策」を進めてほしいと心から願います。(河合薫,ITmedia)