働き方

障害者採用、環境整備大忙し 中央省庁 水増し発覚→年内に4000人 (1/2ページ)

 水増し問題が発覚した中央省庁で、多くの障害者が働き始めた。「ここで長く働き続けたい」。期待と不安が交錯する中、省庁も新戦力の受け入れへ、部署の創設やバリアフリー化などの対応を手探りで進めている。

「配慮感じる」

 霞が関の行政機関では、今年末までに約4000人を採用する方針。常勤、非常勤を合わせて4月1日までに既に2750人ほどが入省した。

 人事院の試験を経て省庁に入った30代女性は、障害者採用の人だけを集めた部署で研修中だ。「上司は『残業はせず、有給休暇もきちんと取って』と言ってくれ、配慮を感じる。でも、一般の職員はいつも夜中まで働いているのが分かるので、正直落ち着かない」と漏らす。半年後には職場に配属予定。「障害者が私1人になっても、今のような働き方ができるのか」と心配する。

 別の省庁に採用された30代の男性は「以前勤めていた企業よりも気遣いがあり、給料も2倍に。人間らしい生活ができる」と語った。

 各省庁では、設備改修や研修の実施といった職場の環境整備が急ピッチで進んでいる。

 146人の水増しが判明した外務省。障害者雇用に特化した民間の特例子会社を参考に、省内の事務作業を一括して請け負う「オフィス・サポート・チーム」を新設した。今春に入省した約20人が配属され、書類の裁断などに従事し、心理療法士らの支援者も配置した。「慣れれば他部署へ異動するなど、希望や適性に応じて仕事の幅を広げていきたい」と有馬裕人事課長は話す。

 水増しがあった28行政機関のうち5番目に数が多かった農林水産省では、専門家の指導を受けて車いすでも入れる多機能トイレの増設を急ぐ。採用担当者は「8階建ての本館でも一部にしかないので全階に整備する」。厚生労働省が実施する養成講座に職員が行き、受け入れに向けた配慮を学ぶ。

 金融庁では水増しはなかったが昨年6月時点で法定雇用率には10人が不足していた。視覚障害者向けにパソコンの文字拡大装置や読み上げソフトの導入などを進め、近隣の就労支援団体を回り、人材募集を呼びかける。

 人事院の試験で22人の常勤職員を採用した経済産業省は、独自の募集でより責任の重い係長級も5人雇った。担当者は「語学が堪能な人に通商や貿易などの海外分野を担ってもらう」と話す。

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