彼女には2歳の娘がいる。今は日本とイタリアを行き来しているが、学校に通う年齢になるとどちらかの時間をもっと増やさないといけない。アーティストの親としては、今後の教育環境をどう考えているのだろうか。
「アートに触れるためには、イタリアが良いでしょう。道端の石ころや壁ひとつとっても、歴史の刻まれたホンモノが日常生活に溢れており、身体的にそれらを経験できます。ホンモノに囲まれて生きていると、モノを見る目が自然と養われます」
それではイタリアなのか?
「いや、今のところ、小学校までは日本の学校に行かせたいと考えています。日本社会や人間関係、そして言語の特殊性を考えると、まずは日本的ルールにじっくり浸かってみる。その後、状況によって日本に残るかイタリアへ基盤を移すか、決めていきたいと考えているところです」
順序が鍵だと考えている。日本からイタリア、イタリアから日本の2つのルートを比較したとき、ラテン気質の娘さんが後者のケースでより苦労するのではないか。そう感じているのだ。
どの順序を選ぶかは親の好みと希望である。ポイントは子どもが状況に合っていないと直感した時、迅速にどのようなアクションを親としてとるかだろう。
他方、アーティストを親にもつ子どもは、身体も感性もかなり鍛えられるはずだ。それだけでなく、生き方についても親のそれが「生」で伝わってくる。
教育環境の設定の仕方も、子どもが親をじっと見ている。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。