8年連続で個別開示した企業は三菱電機、伊藤忠商事、ファナック、ソニーなど113社(構成比31.3%)、7年連続は9社だった。
ステークホルダーへの説明責任強まる
2010年3月期から役員報酬の個別開示がスタートし、9年目を迎えた。海外マーケットの好調を反映した電機メーカー、商社などを中心に、2018年は社数・人数とも過去最多を更新した。
役員報酬は依然として基本報酬が中心だが、報酬額が大きな役員ほど、賞与や業績連動報酬など、業績反映型の報酬体系に移行している。さらに、ストックオプションや株式報酬など、非金銭報酬も増え、役員の責務は業績にとどまらず、企業価値の向上を同時に求められている。
役員報酬の個別開示制度が始まった当初、「個人情報」を盾に反対論も多かった。だが、個別開示で、同業他社と役員報酬額などの比較が可能となり、株主や従業員などのステークホルダーへの説明責任と同時に、報酬額のベンチマークと評価されるようになった。
ただ、2018年11月に日産のゴーン元会長が有価証券報告書への報酬額の過少記載などで東京地検に逮捕されると、役員報酬開示への信頼が根底から揺らいだ。前提となるコーポレートガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令順守)の逸脱が、想定外だったからだ。
だが、ゴーン元会長の事件を機に、改めて役員報酬の決め方や報酬額の妥当性など、ステークホルダーに果たすべき責任はより強くなっている。
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