最強のコミュニケーション術

あなたの6月病、原因は無意識の「感情労働」かもしれない (1/3ページ)

藤田尚弓

 伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。みなさんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。

 第5回は「感情労働」がテーマです。5月病はみなさんもご存知かと思いますが、最近は「6月病」と呼ばれる不調が注目されています。6月病も5月病と同じく「環境変化に伴う適応障害」だとされていますが、変化に強いはずの人が不調を訴えることもあります。どちらかというと仕事もできて、気配りもできる。そんな人がこの時期になんとなく感じる心身の不具合は、無自覚でやっている「感情労働」のせいかもしれません。

真面目な人ほどハマりがちな「感情労働」とは

 感情労働とは、仕事などで求められる人物像を体現するために、自分の感情を管理する労働のことです。

 例えば、介護の仕事や看護師といった仕事では「温かさ」や「共感」を体現することが求められます。そのため多くの人は無理な要求をされたとしても、自分の感情を抑制し相手に共感しようとします。ふさわしくない感情を抑制するだけでなく、好まれるような感情を本当に自分が抱くように仕向けるのも感情労働の特徴です。

 仕事関係で出会う人たちに対して「イラっとすることがあったとしても抑制する」「親しみを抱いているかのように振る舞う」といった行動を心がけている人は多いのではないでしょうか。これらは社会生活を送るうえで必要なことですが、自覚がないまま過度に頑張ってしまうと、心身に疲労を蓄積させることがあります。

疲労を溜める「偽りの親しさ」

 本来であれば、親しい間柄の場合、お互いが「思いやりのあるコミュニケーション」を取ろうとします。しかし仕事上構築された親しさにおいては、コミュニケーションのルールが少し変わります。 感情労働の研究で有名なホックシールド氏は、航空会社の客室乗務員を例にとり、以下のように述べています。

「乗客は、家に来ている本物の友人やお客とは違って、イライラするときはその怒りを客室乗務員に表出する権利が当然あると思っている。チケットと一緒に、暗黙のうちに了解されたその権利を購入しているのだから」(*1参考文献)

 自分は相手から思いやりあるコミュニケーションを求められるのに、相手は自分に対して強い主張を伴うコミュニケーションが取れる。このような状態はストレスを伴いますので、「仕事だ」とある程度割り切って行ったり、ストレスを溜めないようにしたりといった対処が必要です。

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