学校や病院、行政機関の庁舎などの屋内が1日、全面禁煙になった。9月のラグビーワールドカップ(W杯)に間に合わせるため、受動喫煙対策を強化した改正健康増進法を一部先んじて施行。悪質な違反者には罰則の適用(過料50万円以下)も始まった。病院などでは比較的対策が進んでいるが、行政機関では慌てて屋外に喫煙所を設置したため、近隣住民と対立している所もある。
文部科学省では1日、省内の喫煙所から灰皿が全て撤去され、喫煙者は近くの民間ビルなどに出向かざるをえなくなった。40代男性職員は「息抜きに出るには遠い。いまさらたばこはやめられないし、肩身が狭くなるばかりだ」と嘆く。
東京都庁でも6月28日、庁内にある全6カ所の喫煙所を一斉撤去した。屋外喫煙所も検討したが、「条件に当てはまる場所がなかった」(庁舎管理課)と設置を断念。埼玉県庁では庁舎内に5カ所ある喫煙所を撤去した上で、屋上にある1カ所は維持する。神奈川県庁は平成17年、千葉県庁は23年、庁舎内の喫煙所を全て撤去したという。
東京都板橋区は庁舎内の喫煙所を撤廃する代わりに、屋外に公衆喫煙所(約10平方メートル)を設置。だが近隣からの苦情が相次ぎ、反対署名2千筆以上が区に届いた。7月1日の開設を目指していたが、9月以降の延期に追い込まれた。
「お年寄りや幼児も近くを通る。勝手に喫煙所の設置が進められており、健康被害が心配だ」。近隣の女性(54)は憤りをあらわにする。反発が強まっていることに対し、区の担当者は「問題点があれば検証しながら運用を考えていきたい」と話した。