社会・その他

ブラック企業をやめられないのも“依存”…最新ルポ漫画の怖い中身 (1/2ページ)

 お酒にギャンブル、ゲームなど、さまざまな依存から抜け出した14人の体験談をつづったルポ漫画「ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました」(サンマーク出版)が5月に刊行された。多くの人にとっては無縁と思われがちな病気だが、専門医は書中で「『やめたいのに、やめられない』ことがあれば、プチ依存の状態」と指摘。さらにはブラック企業を辞められないのも「心理的に依存に近い」とする。一冊をとおして浮かび上がるのは、依存の背景にある自己肯定感の低さや親子関係だ。(藤井沙織)

 隙間時間のつもりが…

 著者はイラストレーターの汐街(しおまち)コナさん。2年前には、過労自殺しかけた経験をもとに「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由(ワケ)」(あさ出版)を執筆し、12万部超となった。

 今回の著書で当事者として最初に登場するのは、汐街さん自身だ。移動中や寝る前などの「隙間時間にやっている」はずのスマートフォンの使用時間が、実際には1日6時間超と判明。依存症の専門医、大石雅之氏に「プチ依存」と指摘されるところからお話が始まる。

 その後は、お酒やギャンブル、ネット、ゲームに買い物など、さまざまな依存から抜け出した人たちが登場。依存対象は異なっても、多くのケースは、最初は楽しんでいたことがいつの間にかストレス解消の手段となり、次第にそれがないと辛い現実に立ち向かえなくなる-という構図だ。また背景には、厳しかった親や世間の価値観による抑圧、自己肯定感の低さといった共通点も。だが買い物依存だった女性は「自分以外の何かのせいにしている間は、抜け出すのは難しい」と語る。

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