人工肉に脚光が集まっている背景には、将来的に発生が予想される世界規模の食糧難がある。
農水省の統計資料によると、世界の人口は現在の約70億人から2050年までに90億人以上に増加。これに伴いアジアの1人当たりGDPは10年と比べて3倍、アフリカでは5倍近くになると予想されている。経済発展に伴い、これらの国が肉を積極的に食べるようになる(欧米化する)など食習慣が変化すれば、食肉消費量が爆発的に増加することが見込まれ、対応は急務といえる。
こうした状況を受けて、海外では数年前から、植物由来の人工肉ブームが起きている。
米ファストフードチェーン大手「バーガーキング」は4月から、植物性の代用肉を製造している「インポッシブル・フーズ」と共同開発した大豆などを原料にしたパテを使ったハンバーガー「インポッシブル・ワッパー」を、米国の一部店舗で発売し始めた。「見た目だけでなく食感や味も本物のハンバーガーそっくり」と話題を呼んでいる。
国内でも、大塚食品が昨年11月から大豆をベースとしたハンバーグ状食品「ゼロミート」を、コンビニなどで発売している。同社の開発担当者は「口コミなどで販売数が大きく伸びている。(植物由来の人工肉は)欧米では巨大市場。日本でも非常に大きな成長が見込まれる」と話す。