働き方

「英語、数学が強いから」ではない IT大国インドの強さは“60点”にある (2/4ページ)

 60点の状態で「エイヤ」とキックオフする

 ただ、これに加えてこのIT産業でも、実は「60点主義」が非常に重要な要素となる。どういうことか。

 従来の製造業の場合だと、顧客の要望に対してゼロコンマ以下の精度まで精密につくり上げたものを納品する必要がある。そのため、各社は検品に力を入れる。

 一方IT産業の場合、そのメインプロダクツといえるソフトウェアやアプリの場合、まずは顧客にそれらを提供し、その後、顧客から上がってくる問題点の指摘や改善提案、不具合を訴える声をオンラインで集め、それをもとにどんどん改善していく。

 ここで「100点主義」をとっていると、当然いつまでたっても最初の商売すら始まらない。まず60点の状態で「エイヤ!」とキックオフし、その後の不具合の報告や場合によってはクレームを受けてから、それを取り入れてどんどんクオリティを高めていけばいい。これがインドIT産業のスタンダードであり、強さの源なのだ。

 日本でまん延しているのが「100点主義の研究開発」

 実は研究開発系の現場でも、日本の基準とインドを含むグローバルスタンダードの間にズレが生じている。いま、日本でまん延しているのが「100点主義の研究開発」。言い換えると「失敗がない研究開発」である。

 本来、研究開発は失敗のうえに成り立つもの。しかも1回や2回どころではなく、何度も何度も失敗を重ねていくなかで、ようやく大きな成功を得られるたぐいのものだ。

 このように「失敗しないと成功しない」という前提があるにもかかわらず、「100%成功する研究開発」を求めるため、日本では結果として「研究開発の成果を外部から買ってくる」という方法が主流になりつつある。そのため、熱意あふれる理系人材が日本企業に失望して外資系企業に転職したり、企業内の研究開発のための体制自体が潰されたりしつつあるのだ。

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