“公私両立”に向けた羅針盤
起業をするうえで難しいと感じたことはありますか?
「公私の両立です。私は起業家である前に夫であり父親ですが、一人で会社をやりはじめるとどうしても会社と自宅の境目がなくなります。週末も仕事をすることが増えてきて。自分が倒れたらアウト、というのもリスクが大きいので、2019年の春頃から少しずつ業務を仕組み化したりメンバーを増やしたりして、今は週休3日で運営できるようにしました。それを支えるのがリモートワークです。クライアントにうかがわずにアウトプットに集中します。今は4名のスタッフがいますが、全員リモート。社内会議もすべてオンラインです」
家庭人と起業家の両立に挑戦される理由はどのようなことがありますか?
「父親を尊敬しているんです。父は大きな組織で勤め上げた人で、私のキャリアとは真逆ですが、スタートアップとはまた違う形で社会に大きな価値を届けていました。また家族を大切にして、子どもの挑戦を後押ししてくれました。私にも2人の息子がいますが、彼らにとって良い父でありたいと思っています」
なるほど、時代に合わせてスタイルは変えるべきということですね。
ではもう一方の起業家として目指していることを教えてください。
「日本ではここ数年、リモートワークや副業・複業というキーワードがトレンドになっていますが、これが一部の職種と特権になっていると感じています。具体的にはエンジニアやデザイナー、ライターといった職種です。彼らに比べて、私のような『ビジネス系企画職』に分類される職種の人にはリモートワークはまだまだ浸透していない。これは仕事のアウトプットを可視化しにくいからだと考えています」
「私がリモートワークで経営支援をできているのは、アドバイスに留まらずアウトプットまで徹底してフォローしている点にあります。このアウトプットを仕組み化しようと、社内で取り組んでいます。経営支援のメソッドを開放し、ビジネス系企画職の方が集まる場を作りたいと考えています。近い将来により多くのスタートアップや大企業の新規事業支援の仕組みを作りたいです」
なるほど、いま顧客から評価されている強みの仕組み化を進めることで新市場が作れると言うことですね。スケールが大きい。
最後に読者へメッセージをお願いします。
「私は起業エリートではなく、いわゆる一般家庭に生まれ育って、普通に大学・サラリーマンを経てきました。だからこそ『普通の人が、普通にがんばるだけで大きな成果が出る社会』を作りたいと思っています。起業に限らずあらゆるチャレンジを、私のような “普通の人” が取り組んでいくことを応援したいです。一緒にがんばりましょう!」
渡さん、ありがとうございました。
【ビジネスパーソン大航海時代】は小原聖誉さんが多様な働き方が選択できる「大航海時代」に生きるビジネスパーソンを応援する連載コラムです。更新は原則第3水曜日。アーカイブはこちら