社会・その他

企業型助成金を受けるも開設は半数以下 保育所詐欺、被害10億円超か (2/3ページ)

 同協会の資料などによると、事業開始の平成28年度からの3年間にWIN社が関わったとみられる申請は東京、福岡などの各都市で計約40施設あり、うち22施設で助成が決定。だが、実際に整備され、開園に至ったことが確認できるのは9施設にとどまる。それ以外は建設がストップしているとみられ、中には申請を取り下げたケースもあった。

 匿名ブログ機に

 子供が保育所に入れなかった怒りを「保育園落ちた日本死ね」と書き込んだ匿名ブログをきっかけに、国会で待機児童の問題が改めてクローズアップされる中、政府が対策の目玉として3年間に計約3800億円の巨額予算を投入したのが今回の企業主導型保育事業だ。児童育成協会の審査を経ると整備費の4分の3や運営費が支給される。

 一方で同事業は「審査が緩く、助成は認可並みに手厚い」(政府関係者)とも指摘され、助成決定後に契約書などを提出すれば最大半額が事前に支給される。28、29年度は支払いを証明する書類がなくても受給できた。

 川崎容疑者はここに目を付けた。まず設置予定地を確保し、自身が実質支配する会社名で助成申請を出す。決定後に運営企業が確保できれば名義変更する。川崎容疑者は逮捕後、「申請側の挙手を待っていたらスピード感がない」と周囲に語ったという。だが、整備予定地を維持しておくための賃料は「月1500万円程度」(関係者)に上り、WIN社の経営は自転車操業状態に陥っていた。

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