社会人生活に対する悩み
この「居場所」の問題こそが、多くの学生が悩んでいることではないだろうか。いつの間にか、友達グループは固定化されていく。どのグループに属するのか、グループに入ることができるのか、いつグループを離脱するのかで若者は悩む。グループに入るにしても、周波数合わせが大変だ。そう周波数合わせのために、ついつい無理をしてしまう。こうして疲れきってしまう。
私も大学時代はついつい、サークルやゼミなどの美しく、楽しい日々を思い出してしまう。ただ、一方で戻りたいかというとそうでもない。やはり居場所に悩んだ時期もあったし、将来の先行き不透明感で悩んだこともあった。背伸びして吉祥寺のライブハウスに通ってみたが理解不能な音楽で退屈な想いをしたし、やはり背伸びして理解不能な本を読みますます迷走したりもした。人間関係で悩んだのも一度や二度ではない。退屈な講義に疲れ、アルバイトを一生懸命やってみたが、お金を稼ぐのは楽しかったが、同じだけの虚しさも味わった。
話すときりがないが、学生生活が楽しく美しいというのは幻想だ。美化されているだけである。楽しい思い出もあるが、戻りたいかというと、冷静に考えるとそうでもないはずだ。これもまた生き地獄である。
もし、社会人生活に悩んでいる若者がいたら、ぜひ、相談にのってあげよう。解決できる問題は協力しよう。一方で、美しい大学時代など幻想であることもちゃんと諭してあげよう。私は自信を持って言える。いまが、一番楽しい、と。
【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら