働き方

日本人は有休を「取りたがらない」のか、それとも「取れない」のか (4/4ページ)

 職場にダラダラ居残る日本人駐在員

 ヤフーや「ユニクロ」で知られるファーストリテイリング、最近では日本マイクロソフトなど週休3日制を取り入れる企業が増えている。ただ、内実を見ると、その分給与が減少するほか、帳尻を合わせるため週の総労働時間は変わらないと聞く。日本人の働き方や雰囲気など国内の最新状況は実地感覚がないので、言及は差し控える。ただ、米国にいる日本人の働きぶりをめぐり、知り合いの米国人から疑問を呈されたことがある。

 日本人駐在員が多い職場に在籍している彼女によれば、日本人駐在員は本当によく働くそうだ。家族持ちの人はそうでもないらしいが、傍から見ていて、独身者や単身赴任者はメリハリがなく、ダラダラ職場に居残っているとのこと。そして、疑問は「せっかく米国に来ているのに、どうしてあまり旅行に行かないのか。広くて、行くところはたくさんあるのに、米国の良い部分を見ないで帰国するなんて、もったいない」とのことだった。

 日本でもベストセラーになった『ライフ・シフト』の著者で、人生100年を提唱しているリンダ・グラットン氏は、主に先進国では労働時間が減ると推測し、その結果、生み出された新しい余暇の過ごし方として「家族や友人と過ごす時間」や「教育とスキルの再習得にかける時間」など無形の資産を充実させることが重要だと強調する。

 働き方改革は裏を返せば、休み方改革だ。先の調査によれば、日本も米国も似た面もあれば、異なる面もあり、どちらかに軍配を上げることは控えたい。ただ、仕事よりも家庭やプライベートを優先させる考えが強く根差している米国に学ぶべき点はまだまだ多いはずだ。国民性の違いを理由に、議論を遮断すべきではないと思う。

小西 一禎(こにし・かずよし) 米国在住・駐夫
コロンビア大大学院客員研究員 共同通信社政治部記者
 1972年生まれ。6歳の長女、4歳の長男の父。埼玉県出身。2017年12月、妻の転勤に伴い、家族全員で米国・ニュージャージー州に転居。96年慶應義塾大学商学部卒業後、共同通信社入社。3カ所の地方勤務を経て、05年より東京本社政治部記者。小泉純一郎元首相の番記者を皮切りに、首相官邸や自民党、外務省、国会などを担当。15年、米国政府が招聘する「インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム」(IVLP)に参加。会社の「配偶者海外転勤同行休職制度」を男子として初めて活用し休職、現在主夫。米・コロンビア大学大学院東アジア研究所客員研究員。研究テーマは「米国におけるキャリア形成の多様性」。ブログでは、駐妻をもじって、駐夫(ちゅうおっと)と名乗る。

 (米国在住・駐夫 コロンビア大大学院客員研究員 共同通信社政治部記者 小西 一禎 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)

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