中でも抜擢人事は賛否を含め盛り上がりを見せる。本人だけでなく、周りのモチベーションアップにもつながる。年齢が近い先輩や同僚が抜擢されるのは嬉しいものだ。一方で、抜擢人事は組織に緊張感をもたらすこともあるし、ときにはモチベーションダウンにつながることもある。若い管理職が誕生すると、上の世代は自分のポジションや、先行きについて不安を感じてしまうものである。
人事は経営からのメッセージである。今後、どのような企業にしたいのか、どんな人材を評価するのかを人事に込めているものである。
一方、人事といえば、このような大抜擢や、逆に左遷や更迭、冷遇ばかりに注目が集まる。そういえば、今回の閣僚人事においても石破派からの登用がゼロだった。このこと自体、あまり話題にもならなかったようだが。
しかし、人事は全体のバランスでみるべきである。よく見ると、安定感のある、経営者が信頼している人物を要職においていたりする。今回の閣僚人事もそうだった。
中長期視点が肝心
ウォッチするべき点は、中長期の視点と、副作用である。人間はもれなく歳を取る。経営陣や管理職もそれぞれ5年、10年と歳を重ねる。さて、その頃の組織はどうなっているだろうか?
特に抜擢人事をすると、良い意味では若返りをはかることができるのだが、そこで飛ばされてしまった年次の人たちにチャンスがまわってこなくなる。抜擢された人は経験をつむことができるし、次世代のスターになるかもしれないし、組織も活性化する。ただ、トータルでみると、マイナスになることもある。