関電 原発マネーの闇(上)

「社長就任祝いは金貨10枚」 地元有力者の幻影におびえる (2/2ページ)

 森山氏を知る議会関係者は「高浜で原発誘致が進んだのは、ああいう中心的な人物がいたからだと思う。大した人物だ」と賛辞を贈る。60代の町関係者の男性も「偉大過ぎて一言では言えない。この人がいなかったら、高浜町はここまで大きくなっていなかった」。

 退職後も地元では関電に顔が利く実力者として知られた存在。報告書もその人物像を「町、県庁、県議会および国会議員に広い人脈を有している」とした。

 ただ、「感情の起伏が大きく対応が難しい人物」と指摘。関電内部では「できる限り丁重に扱い、良好な関係を構築・維持する必要がある」との認識があった。そのためだろう、森山氏に対して関電は、幹部が大勢出席して年始会やお花見をし、誕生日会も開催していた。

*  *  *

 平成23年の東日本大震災後、国内の原発は高浜原発を含む全基が運転を停止。再稼働に向けた安全対策工事が急増した。

 この間、関電では再稼働に向けた安全対策費用などが経営を圧迫し、高浜原発3号機を再稼働するまでに2度にわたって家庭向け電気料金を値上げした。この値上げした電気料金が原資となった原発マネーが、森山氏を介して還流した可能性はないのか。関電側は曖昧な回答に終始した。

 疑惑の発端となった高浜町の建設会社「吉田開発」との関係では、報告書は「発注プロセスでコンプライアンス上の問題となる点は認められなかった」とした。だが、同社の30年度の売上高22億円のうち、関電からの直接発注額は2億5千万円、ゼネコンなどを通した間接発注は10億6千万円だ。合算すれば13億1千万円と、売上高の半分以上が関電からの受注ということになり、濃密な関係性が浮かび上がる。

 岩根社長が会見で説明した吉田開発に対する過去5年間の直接、間接発注金額を単純計算すると、26年の6億8600万円から翌年には9億3900万円、28年に11億2千万円と増加。29年には22億4千万円と前年の倍以上になった。まったく問題がなかったといえるのだろうか。

 「恫喝されて病気になった、という話が連綿と引き継がれ、自分も同じようになるのでは、という幻影におびえていたのではないか」。岩根社長が打ち明けたのは、関電自身が原発マネーに翻弄された姿だった。

 日本のエネルギー政策を担う電力会社の幹部に、原発立地自治体の大物から多額の金品が流れていた。次々に明らかになっていく“原発マネー”の暗部。その背後に、何があったのか。((中)は明日10日掲載します)

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