社会・その他

関西電力の問題「関係断ち切れ」「甘さ捨てよ」…識者に聞く (1/2ページ)

 関西電力役員らの金品受領問題が一向に収束しない。福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)との“不適切な関係”を認めた2日の再会見の後も、原発部門以外での森山氏への情報提供や元高浜町長の関電子会社の顧問就任などが相次ぎ発覚した。企業のコンプライアンス(法令順守)や原発行政に詳しい専門家に問題の論点を聞いた。

 「表に出せぬ金・関係断ち切れ」 大島堅一・龍谷大政策学部教授

 --地元業者から関電役員へ、いわゆる原発マネーの「還流」はあったと考えるか

 還流以外あり得ない。関電から地元の建設会社へ工事が発注され、支払われた金が地元の顔役を通して関電幹部に流れたのではないか。それだけ業者が原発関連工事でもうけていたのだろう。

 --原発建設は、立地自治体へ大きな経済効果をもたらすということか

 現状は、原発関連の受注を受ける地元の建設会社などへの利益が中心で、原発建設による効果は限定的だ。ただ、自治体には国から多額の交付金が支給されている。

 --交付金の使途は

 「迷惑料」のようなものだが地元にとって魅力的。公共施設の整備事業から福祉対策事業まで使えるようになっている。自治体も交付金に依拠して抜け出せなくなっている。

 --原発の立地自治体と電力会社の癒着は起こりやすいのか

 火力発電などと比べ、原子力事業は安全性を維持するために極めて高度な注意義務が必要で、コストもかかる。そのため受け入れには「地元同意」が必要不可欠。その同意は「地元」だけでなく、事故が起きれば大きな影響を及ぼす近隣自治体も(地元の対象に)含めるべきだ。利権に絡んだ人たちだけで(同意への議論を)進めるのではなく、正当なプロセスが必要。表に出せない金の流れや関係性を断ち切るべきだ。

 --関電は今後、どのように対応すべきか

 原発事業は国をあげたエネルギー政策の柱の一つ。今回明らかになったのは、そうした重要な事業を担う会社のガバナンス(企業統治)の機能不全だ。事態は深刻。国の厳しい監督下での徹底究明が必要になる。

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